回転銀河
海野つなみさんの『回転銀河』読了。
面白かったあああ!
高校生のいろんな恋愛を描いたオムニバス作品。1話目が近親相姦カップルと言うなかなか強烈な始まり方。
自分に兄弟がいることもあって近親相姦ものはあまり好みでは無いのだけど(嫌いじゃないけど共感できない)、でも作中に出てくる
「好きになっちゃいけない人がいるんだったら『好き』ってなんなの?」
というヒロインのセリフ。このセリフひとつで、なんだか全てを肯定できる気分になってしまった。
海野つなみさんと言えばドラマも大ヒットした『逃げるは恥だが役に立つ』だけれど、この逃げ恥でも私は何度も自分の思い込みをひっくり返された。
自分で言うのもなんだけど、私はかなり柔軟性が高いというか、言い方を変えればあまり特定の価値観に捕らわれない方だと思うのだけど、世間の常識に捕らわれない代わりに自分の価値観や決まり事がガッチリ固まってるものも少なからずあったりする。
でも、その自分でも半ば無意識に持っている先入観を覆されることが多くて、それも海野つなみさんの作品の大きな魅力の一つだと思う。
(逃げ恥で言えば、そうは言っても25歳差は無理だろうと思ってた百合ちゃんと風見さんのエピソードとかね!あれは最高だった)
この1作目のヒロインの元彼でお友達のイズミくんが凄くいい子。イズミくんにもハッピーなことが起きて欲しいなあ。
全6巻、全ての登場人物が愛おしいのだけど、王子様な須磨ちゃんと不愛想な池上くんのエピソードがすっごくキュンキュンくる。特に2巻の1話目は、途中まで須磨ちゃんに感情移入して胸がえぐられるように辛い気持ちだったのだけど、ラストの方で池上くんの可愛さにやられた。
海野作品の男の子は、嫌な奴でも傲慢な奴でも不器用さがあったりしてそんなところも好き。
私は池上くんみたいな愛想が無いうえに意地悪で怖い人っていうのが好きじゃなくて、話はずれるけど恋愛シミュレーションゲームとかのサンプルを見てると出てくる男がどいつもこいつも「ドS」とか「俺様」とか「意地悪」とか「強引」とかそういうキーワードばっかりで、ハッキリ言って一人も好みのタイプいないんですけど!って感じだったのだけど、池上くんはそういった意地悪さの中にも不器用さを見せてくれるのがいい。非常に可愛い。
オムニバスの後半のメインキャラである悪魔の双子も、なんだかんだ不器用で可愛げがあるので救われる。
女は愛嬌っていうけど、男だって愛嬌で全て許されるよ!可愛いのが最強!
意地悪でドSで隙が無い万能戦士の男なんてどんなに顔面偏差値が高くても1ミリもカッコいいと思えないわ私。
須磨ちゃんのお友達の恭子ちゃんと守口くんのエピソードもいい。守口くんはめちゃくちゃストレート勝負でカッコイイよ。
番外編的な物語の「クロニクル」も好きだな。姉の友達との恋、いいねえ。
この『回転銀河』は去年復刻版が出たそうで、私は昨日本屋で見かけて知ったのだけど興奮のあまり声が出そうになるほど嬉しかった。
逃げ恥の連載第一回目をたまたま読んで一発でファンになったものの、他の作品がなかなか手に入らず(『豚飼い王子と100回のキス』は買えた、これもすっごいキュンとする話。最高)意気消沈してたのだ。
女性誌に掲載された作品全般に言えることだけど、本当にあっという間に絶版になってしまう。少年誌とかでも同じかな?ずっと読めるのは本当に一握りの大ヒット作だけなんだよねえ。
この『回転銀河』と未読の『デイジー・ラック』の復刻は間違いなく逃げ恥のヒットのおかげだよね?ね?ありがたい!
私はドラマは観てないのだけど、原作の面白さを損なわず、かつキャスト・スタッフが良い感じだったんだろうなあ。ドラマのファンの方たち、ありがとう。マンガが面白くてドラマが作られて、そのドラマも面白くて過去作品が復刻される。なんて素晴らしい夢と希望のある話。有難い。ホントに有難い。
そういえば悪魔の双子の話に出てくる和倉ちゃんが、「わかった!」って言いながら勢いと思いつきでガンガン喋る場面でちょっと笑ってしまった。私もそういうヒロイン書いたことあるある。和倉ちゃんの方が賢いけど、私のヒロインもそういうとこ魅力的だなーって思って書いたのだ。なんというかネタが被ってどうのこうのよりも、単純に嬉しいわ。光栄です。
そんくらい海野つなみさんの作品が好き。
万が一私の芝居と回転銀河の両方を観たレアな人が存在してたとして、私がネタをパクったと思われたら恥ずかしいので弁解の意味も込めて書いておこう。その両方を観た人が更に私のブログを見ているなんてこと、レアケース過ぎて可能性ゼロって気もするけど。
逃げ恥の続きが描かれるという話を聞いてるので今年はそれも楽しみだ。
※余談。海野つなみさんはどうして先生呼びじゃないのかというと、元々私は漫画家さんを手当たり次第先生呼びするのは逆に失礼なのでは…?みたいな考え方があって、私が生まれる前から活躍されてる漫画家さん以外は先生ではなくさん付けする習慣があったのだ。
とは言え何となく便宜上とか話の流れ上とかで先生呼びすることもあるのだけど。
敬意の意味で言うならば海野つなみさんは紛れもなく私にとって「先生」だし、大好きで尊敬する漫画家さんの一人であることに間違いない。