2023秋公演「ファンタステカ」を終えて
秋公演を終えてってタイトルだけど年に1回しかやってないのに秋公演も何も無いわな。第16回公演でした。
間に番外公演とかミニ公演とか花見卓哉ライブとか挟んでるけどそういうのを入れたら何回くらいやってるのか実は知らない。とりあえず旗揚げから15周年は過ぎたらしい。あいだ4~5年休んでたから実質10年ちょいか。そんなもんか。そうかあ。
パッとしない口上で始めてしまったけど、久々に公演後の思いをぶつけてみようかなと。裏の話はしない。ちょっとなんかずっと悪夢でも見てるかのように仕事が捗らなくて反省しまくりで関係者に合わせる顔が無くてしんどい。
とは言えお客さまが(来場してるしてないに関わらず)読んでくれてるかもしれないところでそんな話をしても仕方ないのでしない。見栄を張らねばね。涼しい顔せねば。
武士は食わねど高楊枝だよ。ちょっと違うか。
それでも一言だけ。役者の皆さんとスタッフの皆さん協力してくださった皆さんには猛烈に助けてもらいました。ありがとうございました。本当に心から感謝しています。こんな言葉じゃ足りないくらい。
幕をあけることができたのは皆さまが助けてくれたからです。ありがちな言葉だけど切実にそう。ホントそう。ありがとうございました。
そして言うまでもなくお客様に心からの感謝を。ありがとうございます。お客様あってのお芝居です。行けなかったよー!って人たちのあたたかい心もしっかり届いています。いつもありがとうございます。嬉しいのよ、Twitter(現X)やら何やらでのちょっとしたリアクションも何もかも。
さて気を取り直して。
今回の「ファンタステカ」は2011年に上演した作品の再演。狙ったわけではないのだけど、結果的に昨年の「オーガッタジャ!」に続き、幻の2011年作品再演シリーズとなった。
個人的には初演がかなり私情が入ったというか、自分の気持ちをキャラクターに言わせたものだったので作品としては逆にあまり思い入れが無かった。熱は入ってたけども。
で、物語としても半端な結末だったと個人的には思うので、そういうのもあって再演できて良かった。
本当は去年やるはずだったのだけど、去年はそういう気分じゃなく。逆に今年はやりたい気分で。結局は感覚で決まる。
そもそもなんで「ファンタステカ」が再演の候補にあがったかというと、私が女神的女優さんに出会ったからなのである。
2019年にさかのぼる。
この年、発条が休止期間だったこともあり、いろいろなご縁のもと加茂克がヨソ様の芝居に出演した。
(ちなみに私は全ステージ観に行った。熱狂的ファンかよ)
その芝居で共演していた女優さんがめちゃくちゃ良くて。この人…!この人こそが私の女神だ…!!と熱烈に恋してしまったのだ。
その名はかわぐちまこちゃん。間違いなく女神。
発条ロールシアターの女神といえば一時期ずっと出演してくれていた日高ゆりあちゃんであることに誰も異論は無いと思う。彼女がお芝居の世界からいなくなってからは、彼女が演じた役はもう二度と誰にもやってもらえないだろうなあ、再演もできないだろうなあと思っていた。世の中にステキな女優さんは数多いるけれど、私にとって彼女は本当に特別だったから(ゆりあちゃんに対してこう思ってる演出家や監督たくさんいるだろうなあ)。
しかし、かわぐちまこさんの芝居を観て我が身と心がすっかり彼女の虜となったその時、「ファンタステカ」のオミナエをかわぐちさんにやって欲しい!と激しく思ったのだ。
オミナエはお客様に「ジャンヌダルクみたい」と言われるほどカッコよい役だった。美しくて強い役だった。
かわぐちまこちゃんはまさにオミナエだった。
私が観たステージは全然オミナエみたいな役ではなかったけど。まったく違ったけど。でも、本当にオミナエだと思った。
全ステージ観に行った私はいろんな角度からあらゆる場面のまこちゃんの芝居を観た。彼女はどの瞬間も全てが美しく、細やかで、そして生身の人間として呼吸をしていた。そこには芝居には出てこない役の人生が感じられた。描かれていない喜怒哀楽がのっていた。
それは役者なら当たり前のことかもしれないけれど、同じ芝居を何百回何千回と観ても飽きないような、生きてる芝居だった。これはただの妄想だけど、おそらく本人も何百回だろうが何千回だろうが飽きずにやってくれるんじゃないかなと思える、そんなところにも惹かれた。
ちなみにその時の共演者である本多一生さんと畑中俊明さんと地脇慎也さんも、昨年と今年2回にわたって出演してくれた。
もうね、空間製作社さんには一生かけてもご恩返ししたいですよ。本当に。
まこちゃんの話で盛り上がり過ぎた感はあるけど、本多さんと畑中さんと地脇さんについても熱く語りたい。いやマジで。軽々しく言いたくないけど奇跡では?
本多さんにいたっては「オーガッタジャ!」の宇塚彩子ちゃんと菅野翔馬くんを紹介してくれた恩もある。もはや発条の座長では?(←本多さんに何のメリットも無い)
過去最高のキャスティング作品は長らく「パソドブレ(2013)」だった。
しかし「オーガッタジャ!(2022)」と「ファンタステカ(2023)」はそこに並んだと思う。
いつでも最新作が最高傑作と言いたいとこだけど、まあ冷静に言ったら三作とも同じくらいかな。
ただ冷静さを欠いた瞬間に「ファンタステカ」のキャスティングが歴代最高にして最高傑作!と言いたくなるくらいには今公演は良かった。
あまりに良かった良かった言うの、ほんと文化祭で盛り上がって「うちのクラスさいこー!」って言ってる高校生みたいで恥ずかしいから嫌なんだけど。
まあ、よくできたわ。
よくできた要因の7割くらいは役者の力だったと思うわ。魅力的だったと思う。
お久しぶりの伊織夏生さんと、伊織さんが紹介してくれた今村貴登さんも含め(ありがとうsalty rockさま!)そして完全に初めましての溝端亮くんも含め。
キャスティング天才。私の力ではなくめぐりあいの力による。ありがたい。
具体的なこといっこも書かないまま文字数がかなり増えてしまったので続く。