「ファンタステカ」終演して思うこと

終わってみて思い返すと、自分にとってはいつもと少し違う気持ちで臨んだ公演でした。
自分が演出をしながらこれだけの分量の出演をしたのも始めてでしたが、理由はそれだけじゃないような気がします。

とにかくずっと追いかけられているような、いや、自分が何かを追いかけているような、そんなせわしない心持ちのまま千秋楽を迎えた気がします。

こんなにも打ち上げを楽しんだのもまた、今回が初めてです。
いつもだったら神経のささくれがおさまらず早い段階で疲れて眠ってしまったり。

「私は書きたいものを書いてれば満足なの!」
とは、自分の演じた河原撫子という作家先生のセリフですが、彼女は本気でそう思っている訳じゃありません(と、私は思っていた)。まあ、彼女の場合は一時が万事どこまで本気なのかわからないような言動をする人間ですので。

私の書く話はしかし何でだかいつもいつも、歳カサがいっていたり社会的地位が高かったり人を導くべき立場だったりする人の心の弱さを全面に出すことが多いです。
自分自身、若い頃の方が根拠無く自信満々だったからなのか、若い年齢の登場人物のほうが人として迷いが無いことが多いです。
まあもちろん歳がいってても若くても、人それぞれ、その時々の場合によって、迷う時もあればエネルギーがみなぎってる時もあればダメな時もあれば良い時もあるんですけど。

今回は、いつもなら言わせないことも全て登場人物に言わせてやりました。クサイ台詞も頑張って言わせてやりました。そんな訳で終盤あたりは良いセリフ大会と化していました。
いいじゃない。15時間も諦めずに砂漠を歩き続けたんだから、言いたいことくらい言わせてやろうよ!ということですかね。文句あるか!と。
いや、文句あってもいいんです。私はそういうのが聞きたいんです。お客様からだけではなく、誰からでも。
でも、例えばどんなに非難ごうごうだったとしても、

「私は幸せだ・・・すまない。」

今ここに立って呼吸をしている私は、心からこのセリフを言いたいのです。

そこから先は、また別の話です。