発条ツアー

発条ロールシアター恒例、物語のゆかりの場所を巡るツアー。
今回の作品は226事件をモチーフにしているということで、実際に犠牲になった方々と処刑された決起将校(と、民間人で唯一襲撃に関わった水上源一氏)のお墓参りです。
というわけで行ってきました!日曜日!
東京は36℃だかの猛暑でしたが、みな元気に集合しまして、まずは多磨霊園

京王線の駅前からバスに乗り、多磨霊園内に向かいます。
お墓は心が落ち着くので好きなのですが、何せ暑い。太陽の光が容赦なく頭上に降りかかり、体力の消耗がひどかったです。大量の蚊にも襲われました。
そして数件のお墓をまわっていくうちに何やら空からゴロゴロと不穏な音が・・・。

焦りつつ残りの墓参を済ませ、帰りのバス停に向かいまして待つこと10分。その僅かな間に暗い雲が空を覆い、ぽつりぽつりと雨粒が・・・と、そこに救いのバス登場!
バスが走り出すとあれよあれよという間に横殴りの雨。そして雷!

こりゃ明らかにすぐ近くに落ちただろというほどの、恐ろしいまでの光と音と衝撃(←を受けた気分)をものともせずバスは走ります。
そして無事、駅に・・・着いたのはいいのですが、駅前をするーっと通り過ぎてバスは所定のバス停に。運転手さんの「お待たせしました、終点です。お忘れ物ございませんようお降りください」というのん気なアナウンスがシュールでした。
外は雨の激しさもさることながら、スペクタクル映画よろしく雷が至近距離でバリバリピシャピシャ鳴っている状況です。降りたくない・・・と思うも、非情にも追い出される乗客たち。

本気で命の危険を感じつつ、50メートルほどの道を駅にダッシュしました。
その間にもドンピシャドンピシャ容赦無い雷。
先に駅に着いて後続を見守っていた杉浦くんによると、走る人々の周りで稲妻がバシバシ空を切り裂き、SFX映画のようだったということです。うひー。

駅に着いてからも雷は止まず、建物の中は安全だと思いながらもかなり怖かったです。
っつーか私ね、ホントに雷苦手です。
2年前の地震の時もそりゃ怖かったけど、こうして比較すると雷の方がより怖い気がします。
大きい音が苦手なのです。いきなり大きい声出す人とかトラックの通り過ぎる音も嫌い。
あーもうやだやだ。

死にたくないです。

京王線は完全に止まってしまったので再びバスに乗りJRの駅へ。予定よりも遅れながら2件目の麻布・賢崇寺に無事到着し、雨と冷房ですっかり冷え切った身体も暑い空気に暖められホッとしました。
どうやら多磨地区は局地的雷雨のまっただ中だったそうです。

しかしながらまあ、私個人としては
多磨霊園で雷直撃」
という事態が避けられただけでもラッキーだったなあと思っています。前向き?
もちろんこの場合の「直撃」は、文字通りの意味ではなく、「遭遇」程度の意味です。直撃したら運不運どころの話じゃないですわ。
あとまあね、一応参加者の安否にはピリピリしちゃうのでね。とんでもない怪我や事故に遭わなくて良かったです。
墓参の後はみんなで新宿で飲み。もう、ひたすら飲み。何時間飲んだんだ。とにかく、飲み。

ひとつ面白かったのは、今回出演者の一人が霊感が強いらしくて、この日巡ったお墓の中に2件ほどヒジョーに圧迫感を感じる場所があったとかいう話。
昭和11年のあの日からもうずいぶん時間が経ってしまいましたが、そうか、魂って残るのね、とか。
けど、それでもほとんどの人たちが穏やかに休んでいるようで少しだけ心が救われる気になったり。
犠牲になった人のことを思うと痛ましい限りですが、それでも私は決起将校が一方的に悪であったというようには思うことはできないし、何というか私にとってお芝居を通して特別な事件になっているなあという気がします。

穏やかに眠る人々、あるいは未だに思いを抱えている人々を引っ掻き回すようで申し訳ない気持ちもありますが、私は私で思いを込めて「パソドブレ」を創ります。

再演することになろうとは思ってもみませんでしたが、こうして作品に再会できてまた向き合うことができて良かったなあと思います。
登場人物の年齢的に、さすがにもう再演は無いでしょう。完成形を迎えるのか、それともやっぱり可能性を秘めたまま終えるのかわかりませんが、ただ、やるだけです。

そんな訳でまあ今日も稽古頑張りますです。