20世紀少年

10巻くらいまでは何度も漫画喫茶で読んだけど、最後までは読んでないんだよねー
…と思ってたのは勘違いで、2巻の途中くらいまでしか読んでなかったみたい。あと、小泉響子がヨシツネと初対面したあたりとかちょこちょこ。
おそらく連載開始時に人んちにあった雑誌で読んだ、程度のものだったのだ。不思議。すっごい読んだ気でいた。

という訳で、ちょっとした臨時収入的なものがあったので全巻大人買い。2巻だけ何故か絶版扱い(アマゾンでも、注文はできたもののまだ届かず)のため、古書購入。

まずオッチョとユキジがかっこいいのは勿論として、今回ちゃんと読んでみて心揺さぶられたのはサダキヨ。
なんて切ない、なんて悲しい、なんて…。
若干、役回りにブレがある気がしなくもないというか、怖いと思わせて実はかっこよく味方の顔…を見せておきながら激しく裏切り、というビックリ感優先な感じが残念な気もしなくもないのだけど、まあその辺はさておいて。
許しがたい罪を犯してしまったという、それが本当に悲しい。実に悲しい。心を完全に支配されてしまっていた人。
悲しい。
私にとってのもう一人の主人公はサダキヨだな。

ヨシツネも地味で地道で好きな役どころ。
実際は良い子というよりちょっとずるい、よくいる子供だったんだと思う。大人になってからも本当によくいる、善人でも悪人でもない人だった。それが、その凡人である彼が、どうにもならない状況で一人大きなものを背負って頑張る、踏ん張る、というあたりが好き。

オッチョはもう、ガツーンとくるかっこいい場面のオンパレード。毎度毎度登場の仕方がかっこよすぎて痺れる。ああもうかっこいい。かっこいい。かっこいい。もう一度言う、かっこいい。


連載開始時はおそらく私はまだ20代半ばで、登場人物たちちょっと歳食いすぎじゃない?と思ってた。40前かよ…と。そればかりかあっという間に時間が経って50代半ば過ぎ?!いくらなんでもそりゃないよ!と。
しかし40歳の今読むと、この年齢に安心を感じさえする。

ユキジがかなりおばさんになってしまって悲しいけど(スカートが特にばばくさい。パンツじゃダメだったんか)、まあそれはそれでいいか、と。外見のカッコよさと中身のカッコよさは必ずしもイコールじゃないのだから。
オッチョも見事に前髪が後退してじじいになってしまったけど、栄養状態も悪いし過酷な生き方してるからあんくらい老け込むわな。
その中ではケンヂが一番若く見えたかな。マルオも仲間内じゃかなり若かった。

あとは小泉響子もお気に入りのキャラクターなのだけど、その彼女が本道とちょっと外れたところでラストシーンを迎えてるのがお気に入り。美少女じゃなくて、ごくフツーの女子高生なところが可愛い。

浦沢直樹さんって漫画上手だなーって思った。
お話がどうこう絵がどうこうじゃなくて、全体の見せ方?「漫画」というものが持つ力を最大限に引き出してるっつーの?
なんつーんだろう。見せ方っつーかページ?コマ?の使い方?
あれだ。昔読んだ「漫画の描き方」みたいな本で、右から左に流れて行って、ページをめくり…という読み手の視線を意識したコマ構成についての話があったけど、まさにその理想的なお手本のような。ドラマチックなのが上手というか。
おかげで凄い勢いで読んでしまって、細かいことが頭に入ってこなかった。なんつって。

なので、2巡目は是非じっくり読みたいなあと思ってるのだ。