演戯団コリペ「床を掻き毟る男たち」

昨年度の韓国の演劇大賞で、演出賞、舞台美術賞も取ったという話題作。
劇場はタイニイアリス。タイニイアリスは韓国の劇団さんをよく招いているそうな。

超満員でぎゅうぎゅうなのに嫌な顔してる人いなかったなあ。みんな少しでも詰めて座れるようにという使命感にも似た思い。
劇場側も、当然の如く全員客席に入れるぞという方針。
で、客席整理をしていたのは小屋付きの方々(オーナーさん含む)だと思うのだけど、見習おうと思った!
開演時間が押してもスタッフ側が変な焦りを見せなければお客さんもゆったりと待っていられるのねという良いお手本のような。
客席が超満員だとか、暑いだの埃っぽいだのあまり快適じゃない時に、スタッフサイドが下手に出過ぎたら駄目なんだなあとか反省。
私の精神状態が良かったからイライラしなかったのかもというのも無きにしもあらずだけど。
無きにしもあらずって言葉、好ましいな。現代においてこんな物の言い方なんてしないのに断固として残っている力強さ。

さてこの芝居、結論から言うとめちゃめちゃ面白かった。
言葉はいっこもわからなくても芝居で何となくわかるというか、っていうかわからないから何なんだ、という勢いと熱情。創り手側の並ならぬエネルギーがガツンとこちらに飛んでくるので、夢中で受け止めている間にあっという間に終わってしまった。そんな感じだった。

区画整理でもう辺りには住む人もいなくなった部屋。注文してから二泊三日でやっと来た出前。1日19時間寝て些事を争うしかない男たちに女神は現れる?」(チラシより)

当日パンフレットにはもう少し詳しく、「手紙で出前を頼んだから到着まで時間がかかった」とか、「頭の大きさ(中身じゃなく外周りのサイズ)でリーダーを決めようとする」とか、「怠惰の限りを尽くしていて寝っころがったまま体操をする(これ、面白かったなあ!)」とか書いてあるのを頼りに、後は笑いどころにポイントとして日本語が挿入される。
これで充分だった。
でも、どうやら韓国語がわかるらしいお客さんがセリフの随所で笑っているのは羨ましかったけど。

舞台美術は素晴らしいの一言!
汚いのに美しい。
やっぱ新聞紙っていいよなあ。

あと、ラストシーンの美しさたるや。

発条ロールシアターでやりたいのも、こういうことなんだよなあと思った。

演出家さん、私より若そうな女性だった。
悔しい!頑張るぞ!!