わかってしまった
どうして今さら胸が苦しくなるのか、何故こんなにもいつまでも辛いのか。自分の文章を読み返しているうちに、ふとわかった。
それは私が、当時の自分の醜さを思い出すからだ。
想像でしか痛めつけることのできなかった相手への、不完全燃焼の憎しみがくすぶっているからではない。
あの時の自分への同調でも、ましてや同情でもない。
逆恨みをして、理性で抑え切れないほどの憎しみを抱いていた自分の小さく汚いサマを思い出して情けなくなるからだ。
自分で言っているように、今にして思えば大した事では無かった。よくある、誰も悪くなんてない、相手にも悪気の無かったことだ。
だからこそ、それを思い知る度に自分の過去に喪失感を感じるのだ。
あの時の私はなんだったのだろう、と。
ただ汚い感情に支配されるだけの、何も生み出さなかった、何も残せなかったあの時の私。
そうだったんだ。
忘れられないのが辛いと思っていたけれど、せめて忘れずにいることが私にとっての救いなのかもしれない。
あんな自分が、確かにいたということ。
二度とあんな憎しみを抱きたくないということ。
嫉妬と逆恨みほど醜く、どう頑張っても正当化できないものはないということ。
忘れないことだけが、あの時の私の存在を許してくれるのかもしれない。