泣ける映画

小泉今日子主演の『空中庭園』(監督:豊田利晃)は、気持ち悪い映画だった。
まずキョンキョンの演じる主婦の役が嫌らしい。何かトラウマを抱えてるんであろうことはわかるんだけど、微笑みながら妄想の中で憎い相手をめった刺しにしてたり、ニコニコしながら嫌味を漏らしたり、子供へのゆるやかな支配とか、まあリアルに薄気味悪い。
その主婦の作り上げた家庭がまた気持ち悪い。「秘密の無い家庭」ということで、パパとママのセックスの話も息子の精通の話も娘の生理の話も全て開けっ広げ。
とはいえ、パパはあちこちで浮気してるし、娘も息子も言えない(言わない)秘密を持ち始めている。

「秘密の無い家庭」を作らなければならないというのは、この主婦(になった元・少女)が、よほどの不安を長いこと抱えていた顕れなんだろう。

クライマックスの、ベランダでキョンキョンが雨に打たれる場面がとても良かった。
現実的な人なら難癖つけるであろう感じのラストシーンだが、私は感動の嵐だった。

ただ、キョンキョン以外の登場人物、誰一人として何考えてるか理解できなかったのは何故だろう?そういうもん?それとも単に私が理解できなかっただけ?特に高校生の娘の気持ちが不可解。
大楠道代の演じるお母さんの役はすごい好き。いろいろ問題はあれど、こーいう女になりたいわ。

とりあえず原作を読んでみよう。原作は角田光代さん。
いやはや、主人公に感情移入しまくりの、気持ち悪いけど泣ける映画だった。