オメデタ

日本において「できちゃった婚」に対して否定的な人って少なからずいるようだけれど、何故なんだろう?「できちゃった」って言葉のイメージが良くないんだろうか。
「おねしょしちゃった」「寝坊しちゃった」「忘れ物しちゃった」
「〜しちゃった」には失敗感と、それを茶化してごまかす感が漂う。

いつ誰が言いだしたか調べてないが、「できちゃった婚」という言葉が使われ出した頃の価値観だと本当に「失敗」の一種だったのかもしれない。「入籍→妊娠という絶対的な常識」が狂っちゃった☆失敗!みたいな。

でも別に、健康状態さえ良ければ男も女も働くのが当然のような現代で、必ずしも結婚しなきゃ困る訳でもないし(結婚した方が世帯所得が増えて楽にはなるが)、特に結婚する理由も無いまま長い事恋愛してる男女ってけっこういると思うんだ。そんでもって、
「独身も楽しいけど結婚も楽しそうだし、どっちも良いね。積極的に子作りする訳では無いけど、もし子供を授かったら結婚しようか」
という、まあちょっとギャンブルがかったカップルもいるんじゃないかな。そうして考えてみると、未入籍の妊娠=失敗ではない訳で。「できちゃった婚」ではなく「大当たり婚」だ。
もちろん、子供ができても結婚しないカップルもいるだろうし、そのへんは「断固として結婚したくないという思想」の持ち主かどうかで違うのかな。

※ところで「結婚観」や「セックス観」は明治だか大正だか辺りに大幅な改革が為されたらしいので、それ以前だとまたちょっと違うらしい。大昔から連綿と続く常識だと思われてるものも、実は意図的に誰かさんにとって都合良く作り上げられたものだったりするのね。

私はずっとお芝居の世界の底辺辺りに生息してるので売れない劇団員のカップルを目にする機会も多くて、そーいう人達はまさに、結婚する理由が特に無いから結婚しないだけの仲睦まじいカップルだったりする。あ、でも貧乏度がすこぶる高いから、避妊はしっかりしてるんじゃなかろうか。貧乏劇団員のできちゃった婚って、大変そうだけどなんかほほえましい。

ちなみにうちの母は、私ができた時(「できちゃった」らしい)、堕胎するつもりで病院に行ったという。34歳で当時としては高齢出産だったし、貧乏なうえに既に子供二人抱えてたし。
でも病院に行ったら医者の爺さんが「堕ろすでしょ?」と決めてかかってきたんでカチンときて、「産みます」と答え、今私がここに存在してるのだ。
私はツイてる。医者に感謝。そんでもってカチンときた母にも感謝。