すてきな彼氏・2

何という食い意地。何という狭量。失せるのは私の方である。何しろここは彼の家なのだし。しかし彼は最終的には目をうるませてごめんねとうなだれるのだった。私はその姿を見て急に愛しくなり、私の方こそごめんねと彼の頭を撫でる…。
ここまで従順な彼というのは極端なケースだが、私の態度は大概こんなもんである。相手が弱者でも強者でも、惚れた弱みがあろうとなかろうと変わらない。そりゃ、平穏で幸せな恋愛が長続きしない訳である。DVの加害者側の気持ちがわかるのは問題あるなと少し思う。
ただ激昂してない時の私は女神のように優しく慈悲深く面倒見が良い。暖かな羽根毛布のように包み込む懐の広さと心地良さを持っている。私の中の温度差が平均化された時私は幸せな恋愛時間を手に入れることができるのだろうか?しかし、平均したほどほどの優しさを持つ激昂しない女。そんな女を求める男を私は魅力的だと思えるだろうか?こんなバランスの悪い女にひかれてしまう不幸な男、そんな男をかわいくて素敵だと思ってしまう限りは平穏で幸せな恋愛は手に入らないだろう。自分の優しさを均すより、激しい温度差に永遠にめげない男を探す方が早いに違いない。