誇り

気付くと自分を紹介する時「芸人です」という割合が増えていた。昔は「お芝居やってます」だった。
自分は芸もないし面白くないからという引け目から、芸人と自称するのにずっと抵抗があった。正直今でもその辺の自信は無いままだが、自覚は生まれた。これだけお笑いの仕事とステージをもらっていながら芸人と言えなくてどうする?と。
バイト先に映像系の女優の卵がいる。かわいい顔で騒いだりボケたりわざと変な顔をしたりする。そうして「言っとくけど私芸人じゃないからねー!」と決まり文句を言う。それを聞くと私の誇りは大いに刺激されるのだ。
芸人?騒いで変な顔してるだけで芸人?ちゃんちゃらおかしいわっ!…と。せめて挑戦してから言えよ、なのである。
思うに芸人とは私の想像以上に道化の存在なのだろう。人を笑わせる・楽しませるというこの生業に私はある種の尊敬すら抱いてきたが、世の中では「芸人扱い」が、いわゆるケナシ系の笑いにつながるようだ(自称の場合は、本気で通用すると思ってる場合も多い)
世の中には面白い人が多くいる。でも職業としての笑いをとれるかと言えば難しい。料理がうまい人がコックさんになれるとは限らないように。