それからのないた赤おに

現在稽古中のこの作品。劇団「帰ってきたゑびす」の進藤則夫さんの作・演出。参考に借りた前回上演時のビデオを観て朝っぱらから涙が止まらなかった。なんていう切ない話なんだ!台本を読んだだけでも何ともやるせない気分になったけれど、視覚・聴覚効果により、いわゆる胸をわしづかみにされる衝撃というものを味わわされた。進藤さんはとても優れた創作者だ。
作品を創る時、私にはどうしても拭えない甘さがある。怪人社の芝居でも、最終的に私の甘さが元で作品が非情なものになりきらなかった事もある(最近だと2003年の『狂恋デカダンス』のラストとか)。
私は胸があったかくなるような救いのある話が好きだ。ぎりぎり最低限の幸せだけでも登場人物達に残してやりたくなる。ただ、その一方で心にズバリと斬り込んできて後々まで深く傷を残すような作品に強く魅かれることも確かだ。
そこに揺るぎ無い愛情があるからこそ、残酷にもなれるのかもしれない。私もそんな、豊かな愛情を抱えた作家になりたい。