「絶版・小動物の正しい飼育方」をつくる人達

3/5(木)〜8(日)にやります公演の稽古に励む日々です。
そんでもって、今回の作品についての日記を書いては消し、書いては消し。どうもこう思いが強すぎて大袈裟になってしまって、こういうのは終演してから書いた方がいいなと迷いあれやこれや…やってるうちに気付いたのですが、私まだ日記で宣伝してない!何やってんの!
やるんですよ!来月の頭!というかもう来週です!

我々のホームグラウンド・タイニイアリスが3月いっぱいで(と言いつつ4月第1週で)閉館してしまうのです。
もう何年も前から噂は出てたのですが、ホントのホントに、これにておしまい。なのです。
そんでもって今公演は我々にとってそのタイニイアリスとのお別れ公演なのです。

今回の作品「絶版・小動物の正しい飼育方」は、1989年に游劇社という劇団が上演した「保存版・小動物の正しい飼育方」のリニューアル版です。游劇社で何度か改訂を重ね上演されてきた小動物ですが、「絶版」はこれが初上演となります。
游劇社の主宰であり作・演出家の鳳いく太氏(現・タイニイアリスの小屋付きさん)が数年前に大幅に書き直したものの、諸事情により上演されないまま今に至ったという作品です。
そして私はこれの上演を虎視眈々と狙っていたという訳です。うしし。

ちなみに「鳳いく太氏」という私の日記には珍しい表記で、また上記の簡単な肩書で、皆さまはどんな人を思い浮かべるでしょうか。
私自身の鳳さんに対しての印象は、ひどく変わっててとても優しい人、です。昔はもっと強烈で怖かったという話も聞きますしご本人も優しいなんて言うと嫌がるかもしれませんが。
というか自分で書いておきながら、ホントに優しいか?とちょっと疑問に思ったりもするのですが。
優しいという言葉が適切でないならば、まあ、世の中の隙間のゴミ屑みたいなものに愛情を抱く人、と言い換えてもいいかもしれません。
私もゴミ屑好きです。自分自身もゴミ屑みたいなもんなんだけど。
だからって訳ではないけれど、ゴミ屑を愛してくれる鳳さんとその作品が好きです。

そうは言ってもその作品にわかりやすい優しさや温かみみたいなものがある訳では無く・・・いや、本によりますか。
少なくとも「小動物」は、楽しさと不気味さと唐突感にあふれた、柔らかくて皮肉的で非スタイリッシュで、ある種の高尚さを持った作品だと思います。どんなだ。「ある種の」って便利な言葉だわ。なんて曖昧な作品紹介。

しかしスタイリッシュな作品にはとんと縁がありません。修行中の身ですのでなんでも作れるもんなら作ってみたい気もしますが、それを作れたところで愛着は湧かないような気もしなくもないです。


さて今回の出演者5名のうち、私を除いた4名が鳳さんのところで芝居を始めた人たちです(藤一平さんは游劇社の旗揚げメンバー)。
音響さんも今回はいつもの伊藤さんではなく、游劇社で音響をやってた鶴岡泰三さんです。
発条公演でお馴染みの受付さん後藤優也くんも、游劇社にいた役者さんです。鳳さんの作品を自分の劇団で上演したりもしてます。
いやー。
游劇社の遺産で食ってます。ごちそうさまです。

ちなみに照明の廣瀬さんも若い頃に游劇社の芝居を観たことがあるそうで、游劇社を知らない、観たことすらないのは演出の私だけです。
なかなかできない体験で、それもまた楽しかったりするのでした。


ところでこの游劇社という劇団は、発条ロールシアターの加茂克が上京して最初に飛び込んだ場所です。おそらくここで加茂克の芝居のもととなる部分が形成されたと思うのですが、加茂克のもともと持っていた個性にもズバピタな場所だったのだろうと私は勝手に思っています。
私は游劇社を観たことは無く、ただその脚本を読んだり役者さん達や鳳さんと関わる中で推測しているだけなのですが。ここじゃない別の場所だったら加茂克はもしかしたら普通の役者になっていた(あるいはなろうと頑張ってしまった)かもしれないな、と。
しかし加茂克が果たして普通の役者になれたのでしょうか?一体どうなってたことやら。

やはりちょっと思い入れが強過ぎる文章になってしまいましたが、とりあえずこういった人たちで作っている今作品な訳です。

そんでもって今私が一番ヒーコラ言ってるのは全体の演出でも細かいスタッフワークでも無く、自分の芝居ただそれだけです。
過酷!ひいい!
すっごいだだっぴろい白い部屋に閉じ込められて、出口どころか壁すら見つからない、自分がどこにいるのかもわからないって感じ。もう本番はすぐそこなのに!
うひゃー!

そんな、珍しく(いつも自作台本でボヘーッとやってるので)苦労してる則末チエが観られるのは「絶版・〜」だけ!
3月最初の週末は、タイニイアリスにレッツラGO!

「絶版・小動物の正しい飼育方」
2015年3月5日(木)〜8日(日)
於タイニイアリス
作/鳳いく太、演出/則末チエ

出演/藤一平、江戸川良、加茂克、杉守加奈子、則末チエ
音響/鶴岡泰三、照明/廣瀬浩司、制作/後藤優也
協力/池山喜勇、川口泰三、加納和也、杉浦直、花見卓哉

前売2500円、当日2800円、学生1500円(受付にて学生証ご提示ください)
※2回目以降、半券提示で1500円

ものがたり
男3人暮らしのアパートの部屋。食う物といえば毎日インスタントラーメンに、餃子は1人2つまで。内職と日雇いで食いつなぐお気楽刹那な共同生活。
そんなある日、男の1人が夜店で買ってきた小さな生き物。
抱いちゃダメ、食べさせちゃダメ、飲ませちゃダメなその可愛い生き物にメロメロになる男たち。
だがその生き物は急激に成長し、男たちの生活を飲み込んでいくのだった…。


皆様のご来場を心よりお待ちしております。