まつりの後〜いろいろ順繰りに振り返る-ふりぃすたいる編-

さて、そうして出会った南雲くん所属の劇団ふりぃすたいる。

何度か公演を観に行きましたが、ふりぃすたいるを語る上で欠かす事のできない作品があります。
その名も
『白河荘の人びと』!

白河荘というボロアパートに住む夢追い人達と大家さん、ご近所さんたちとの日常を描いた物語です。
シリーズ物として何度も上演されているのですが、役者各々の個性を活かした登場人物たちの繰り広げる笑いが、毎回本当に秀逸なのです。

創始者キートン山田さんの構想で生まれたという、この大衆演劇スタイルのシリーズを観る度に、お芝居を観て笑える時間というのはなんて幸せなんだろうと思います。

昨年、亀戸のカメリアホールという大きな劇場でこの芝居が上演された時は、おそらく初めてふりぃすたいるを観るであろうお客さんも多いなか、劇場中が本当に一体となって笑っていて、感動すらおぼえました(←途中から舞台より客席のお客さんを観ていた奴)。

笑いが目立つ作品ですが、実は細やかな部分の表現が上手くて、特に劇団の古株陣の芝居ときたら、技術も貫禄もあるくせに、お客さんより一段下がって笑われ役になってくれる愛きょうもあり、それでいて華やかで人の目を引き付け、
・・・あ、褒めすぎました。
現役の、それも日々進化する役者さんを褒め過ぎるのはよろしくないという持論がありますのでこのへんでやめときます。

まあ、何より良いのはやはり、難しいことを考えずに楽しめる作品である、ということに尽きます。
劇団ふりぃすたいるさんはほかの作品も、やはりどこか温かみを感じさせる芝居が多く、一言で言うと
「ここの劇団の人、全員性格良さそう」
という印象を与える団体です。少なくとも私はそう思ってます。真相は知りませんが。

そんな劇団ふりぃすたいるさんですが、南雲以外の人とはなかなか交流をもつ機会も無く、いつも客席から観るばかりでした。
たまに南雲美智次に演者としてあるいは裏方としてお手伝いしてもらったり、若手の役者さんにお手伝いに来てもらったり、舞台の後でファンとして声をかけたり、というくらいの関係です。

にも関わらず、あるいはだからこそ、1月の企画公演を思い付いた時にまず声をかけようと思ったのが、こちらの劇団さんだったのです。

そもそも最初の企画段階では、文化祭のステージのように、いくつかの団体が持ち時間を決めて演目を披露する、というイベントを考えていました。それで、一緒にやりたい劇団さんということで、ふりぃすたいるさんに話をもちかけたのですが、いろいろありまして結局私が全体の作・演出をやらせてもらっての公演という、なんか想像を遥かに超えた理想的なかたちの公演になったのは、なんかもうありがとうございますと言いましょうか、ごめんなさいと言いましょうか、贅沢の極みと言いましょうか。

とにかくこうして、発条ロール+劇団ふりぃすたいる+フリーの役者たち、という公演がスタートしました。

つづく。