歯痛

昨年の秋のこと。
今ある虫歯を全て治療しようと思い立ち、歯医者を探した。
ネットでの口コミ等も参考にして、選んだのは地元の駅の目の前のビルに入っている歯医者。決め手となったのは診療時間の長さと、通うのに便利なことだった。自転車でも行けるし、電車で出かけた帰り道にも立ち寄れる。

結果から言うと、ここを選んだのは完全に失敗だった。

まず、歯科助手の若い姉ちゃん達がことごとく無愛想。しかも下手。
デンタルフロスでお掃除されてるだけなのにどうしてあんなに流血しなければならないのか。

「あの…痛いです」
「はい、すみませんねー。すぐ終わりますからねー」
「あの、フロスが歯茎にめりこんでるんですけど…」
「…」

このやり取りの後、歯科助手さんは途端に不機嫌そうに無口になられ、途中で終わりにされた。
えええー?と思ったが、今後の治療の事を思うとあまり険悪なムードになるのも怖いので気持ちを切り替え身を任せた。不機嫌なお姉さんは、その後の治療でもずっと不機嫌そうで、あの唾液を吸引するズゴゴゴーってやつの扱いも凄く乱暴だった。その執念深さに感服。

そんなこんなで通った約2ヶ月。一回の治療時間がやたら短くて(たまたまそういう内容の治療だったのかもしれないけど)、結局、著しく蝕まれている虫歯2ヶ所のうち1カ所がようやく済んだその日のお会計時に当然のように、
「お疲れ様でした」
とだけ言われ、次の予約は聞かれなかった。
もう一カ所は応急処置のままだというのに。
なんだこれは。デンタルフロスが痛いですという意思表示がそんなに気に喰わなかったのだろうか?
誓って言うが、歯医者のみならず病院での私は非常に大人しい。先生の言うことにもきちんとお返事するし、間違っても反抗したり舌打ちしたりしない(当たり前だ)。

そんな訳ですっかり治療欲がそがれた私はそれから半年の間、虫歯の治療に行く気が起きずにいたのだった。

が、虫歯のやつぁそりゃ恐ろしい爆弾でしてね。
きましたよ。
きたんですよ、とうとう。神経をえぐるような痛みがね。

先ほど痛み止めを飲んだのだが一向に効いてこず、切れ目無く感じる鈍痛から気を紛らわせるためにこうして日記を書いているのだ。が、ちっとも気が紛れないときたもんだ。

連休明けには隣の駅にある歯医者に行こうと思っている。こちらは発条ロールシアターの男子ご用達らしいので期待している。
っていうか、最後までちゃんと治療してくれりゃどこでもいいや。

実を言うと、今痛んでるのは、件の歯医者で治療してもらった虫歯なのだ。
2ヶ月かけてようやく治療して被せものまでしてもらった歯の、その内側が痛むのだ。

もしや、治療しきれてない…?

以上、夏らしく怖いお話でした。ぞ〜っ。