ピアノそして音楽

中国の若きピアニスト、ラン・ランさんの演奏をテレビで観た。彼はピアノを自分の全てで弾いていた。
自分の周りに生まれてくる音をもって世界とコミュニケーションをとるような、ピアノという濃く深い信頼で結ばれた友人と心やすく遊んでいるような。
ラフマニノフを弾きながらも難しいテクニックなんてどこ吹く風という、心から楽しそうな、生きる喜びと幸せと激しさと楽しみに満ちたピアノだった。聴いている人達におすそ分けしても尽きることなく溢れる気持ち。そんな素晴らしいピアノに私も幸せになった。

ピアノの音色は非常に心地良く、ええと、なんだろう、脳内麻薬とやらが出てるのってこーいう状態?というような気持ちになる。大好き。

通勤電車の中で街中で、見渡す限り誰も彼も耳から白いコードを垂らしているご時世だが(iPodとやら?)私はそこまでして音楽を聴きたい欲求を持ち合わせておらず、どちらかと言うと静寂を愛する人間なのだけど、比較的クラシック音楽は好きだ。

去年父が誘ってくれたコンサートの、生で聴いたモーツァルトに陶然。
ポップでキャッチーなうえにこの世のものとは思えないほど美しいモーツァルトの曲は元々非常に好きなのだが、それが生オーケストラときたもんだ。自分がどこの誰かも忘れてしまうような、幻想に漂うようなひと時を過ごした。
まあしかし「形式的な」アンコールの拍手には馴染めそうもない。

三味線も好きだなあ。津軽三味線、激烈にカッコイイ。

最近、ポップス&オペラ=ポップオペラという独自のジャンルで歌っている藤澤ノリマサさんという若い歌い手さんがいらして、初めて聴くなり聴き惚れた。
つけっぱなしのテレビから流れてきた彼の歌は半分寝ていた私を叩き起こしたうえ心臓をわしづかみにしてくれた。
厳密にはオペラだけじゃなく歌曲なども歌ってる。あれ?歌曲?オペラは歌劇だっけ?どれがどうだっけ?
ポップスアレンジがちょっと古臭いとこがまた良いのだ。たまに「狩人」みたいな歌があったり、なんだか懐かしい。

この春に各地で行われる1stコンサートの東京チケットは先行発売が始まるやいなや売り切れ。予想以上の人気があるらしい。生まれて初めて行きたいと思ったコンサートなのだが。一般発売にかけよう。

どんなに耳から白いのを垂らしていてもライブに人々が足を運ぶのは、いかに生の音楽が感動を呼ぶか知っているからなのね。
それは音楽に限らずあらゆる芸術に通じることかもしれない。

もちろんピアノも、やっぱり生が1番いい。