僕、・・・が好きだ

ブルーハーツの『パンクロック』が好きだ。『ダンスナンバー』も好きだ。『人にやさしく』も好きだ。『終わらない歌』も好きだ。
あ、違う、そういう話じゃなくて。

『パンクロック』が頭の中に流れて、そして自分の一番大切なもののことが思い浮かぶ。

明日どうなるかわからない、今たまたま運が良いだけかもしれない、恵まれた環境でぬくぬくしていることの証拠なのかもしれない。
でも、そいつが大切だってことは確かだ。

何も奪われずに生きている自分。生きている幸せ、大切なそれと共に生きられる幸せ、それを許される自由。それで充分なのだ。

だけれども、だからこそ私は欲張りにこう思う。

彼らが苦しみながらも築き上げたものを、息をしているサマを、一人でも多くの人の目に触れさせたかった。

誰もはっきりと口には出さなかった。皆が口にしないから私も口にしない。でも感情は止められない。
同じ事をもう一度やる予定は無い。今回は、未熟なものたちが一つの場所に集まったという、そのこと自体に意味があったのだ。とても実験的でとても本質的なところでつくったのだ。だからもう一度機会があっても、既に今より成長を遂げた人々に同じ事をやらせはしないだろう。
だから、二度と同じ事をやりはしない。やれはしない。

悔しい。
悔しい。

いや、絶対に無駄にするものか。
悩んで積み重ねてきたその場所から、もう一度新しいものをスタートさせてやる。

本当はいつだってそうなのだ。そうでなければやっていく価値が無い。でも、どこかのん気な気分だったのは確かだ。
それを思い知った。悔しくてたまらない中で思い知った。それがまた悔しい。自分ののん気さに反吐が出る。
だから絶対に無駄にはしない。
全員が揃うことは無くても、私はいる。積み重ねた私が積み重ねた場所から更に積み重ねてやる。

僕、・・・が好きだ。

ところで私は自分の書いたキャラクターを愛してくれる役者が大好きだ。私が書いたのにいつの間にか私よりもよっぽどそのキャラクターのことをわかって、愛して、自由にさせて、添い遂げる覚悟をしてくれる役者が好きだ。
そういう役者に出会える喜びったら無い。

次からはちょっとわがままを言ってみようかな。
「この子はね、あたしが産んで育てたんだよ!あんたにこの子の何がわかるって言うのさ!」なんて。
子離れできない親から彼を彼女を奪っていく苦労ってやつだね。

私自身も、もっと自分の役を背負おう。

みんな、どうぞよろしく。