残り8分

磁気式ポイントカードみたいなのを機械に通すと自分の余命がわかるシステムが導入されることになった。

藤あや子似の色っぽい先輩と旭川の駅前を歩いていると、奇しくも二人とも余命が本日中と判明するんだけど、先輩は「やだ〜困っちゃう〜」って感じでのんきで。
私は早く家に帰りたいと思ったんだけど、そこにたまたま先輩の知り合いで著名な演出家の方が車で通りがかり、
「僕これからラジオ出演があるんだけど君たち送って行くよ」
と言うもんだから、こういう繋がりに貪欲に食らいついていかないとダメなんだよなと思った私は先輩と一緒に車に乗り込んだのだった。今思えば、もう死ぬのにそんなんどうでもいいじゃねえか。

車には、よくわからない取り巻きみたいな売れない舞台女優みたいな若い女の子たちが数名乗ってた。

車を運転してたマネージャーさんは間違えて高速道路に入ってしまう。
焦る私にマネージャーさんは、
「大丈夫、目黒で降りるから」
と言う。
先輩の家は目黒から近い。余命も私よりも長い。確か夜。でも私の家は下北沢のあたり。余命も夕方くらいまで。

結局目黒に着いたところで、
「ラジオに間に合わなくなるからここから自力で帰って」と言われる。
「それって、私は帰り道の途中で死ぬことになりませんか?」と聞くと、
「まあそうなるでしょうね」と。
先輩は、演出家とイチャイチャしている。女の子たちも楽しそう。

一人になって、駅前にあった機械にポイントカードを通すと、余命8分ちょっとの表示。10分切ってるからなのか1時間切ってるからなのか、とにかく赤いラインでくっきりと余命が強調されている。

東中野っぽい駅前の道を歩きながら、加茂克に連絡しなければと思う。でも仕事中だから電話出られないかなと。
あと、バイト先の人たちとやるお芝居の公演が来月の5日から始まるのに、それも数日前に私は彼らに
「前日はバイトより稽古優先しないと間に合いませんよ!」とか熱弁をふるってたのに、しかも主役なのにどうしよう、と。
でもとにかく残り8分しかないし、一人一人に連絡するのは無理だから、とりあえず『みなさんへ』というタイトルで漠然と皆さんへのメッセージを残そうと思い携帯を手に取り、ガラケーだから時間かかるし文章考えてる途中で死にそうだな、なんて思ったところで目が覚めた。

8という数字のついたタイトルって割と多いですよね。
あれとかあれとか。
思い浮かびません?
洋の東西を問わず、何か意味がある数字なんでしょうか。それともなんか座りがいい数字なんでしょうか。ちょうどいい便利な数字なんでしょうか。

残り8分で焦らないように、日頃から大事な人たちとはほどほどにでも連絡取り合っておこうと思ったのでした。

うひー、なんて悲しい夢。私可哀相。
誰か夢判断してちょ。何言われてもいいことしか信じないけど。
そういえば夢の最後の方、残り8分の表示を見た時、
「私の人生が残り8分なんてそんなバカな。これ、夢じゃない?」とうっすら思った。

そんでも悲しかったけどね。