8月

日記をほったらかしにしているうちに、いくつかの忘れてはならない日も過ぎ行きました。

忘れてはならないというか、その歴史上の出来事を知っている人間であれば、おそらく忘れたくても忘れられない日ではないかと思います。

私の母は長崎出身です。長崎に原爆が落とされた日、母は4歳でした。山の向こうに爆弾は落とされたそうです。
母方の祖父は召集を受け戦争に行き、亡くなりました。祖母は戦後、1人で母と叔父を育てました。叔父は、祖父が一時帰宅した時に授かった子供だそうです。
祖父は10歳年下の妻である祖母をとても大事にしていて、結婚してからも祖父が率先して家事をやってくれたそうだ、という話を母から聞きました。仲の良い夫婦だったようです。

祖父は警察官でした。とても優しい人で、樺太(サハリン)にいた時には、地元の人も日本人も区別することなく大事にしていたそうです。後に警察官になった叔父も、きっとそんな父親の話をよく聞かされていたことでしょう。
再婚することも無く厳しく優しく子を育て孫をしつけた祖母も、今はもういません。

私の創った『パソドブレ』というお芝居には、母から聞いた祖父母の話を参考にした夫婦が登場します。現実には到底叶わないけれど、お芝居という形で、少しでも何か残したいと思ったのです。

終戦の日の夜に、夢を見ました。
恋人が翌日に特攻隊として出撃すると聞いて、半狂乱になる夢でした。

朝目覚めて、所詮夢だなあと、思いました。