北斗七星

冬場、暗い夜道を歩きながら空を見上げるとオリオン座が見える。前にも書いたが私はこのオリオン座が大好きだ。その理由のひとつに、これしか見つけることができないからというのがあった。
言うなれば、ふつうに男に興味のある人が、身近に男が一人しかいなく、それもそのたった一人の男がなかなかの男前という状況に置かれた場合、必然的にその男に恋をすることになるだろう。そういう現象に近い。
しかし今日、なんと!見つかったのだ、北斗七星が!いつもなら南の空しか見上げない私が、ふと北の空を仰いだ瞬間、それは目に飛び込んできた。今まで見つけられなかったのが不思議に思えるほどたやすく発見してしまった。
あまりにあっさりと見つけられた為、その瞬間の気持ちは「やっと会えたね!」ではなく、
「あ、そこにいたの?」という感じではあったが。
ところで北斗七星を見つけてわかったことがある。
私がたくさんの星の中からオリオンだけを見てきたのは、そこに私の心を惹きつけるものが確かにあったからであり、また、私がオリオンを一番好きだと思う気持ちは、他の星座(北斗七星)が現れたところで決して薄らぐものではなかったということだ。