日記

日記というものを誤解していた。それは日々の出来事や思いを記録のために書き綴るという行為で、読み返して「ああ、この日はこんなことがあったのか」と感慨にふけったり「忘れてたけどこんな約束をしたなあ」と思い出すためのメモ以外の役割などあると思わなかった。
最近、ネット上で日記をつけている。まあごく普通の生活記録で、読んでいる人間もほぼ自分くらいしかいないのだけど、酔っぱらった時の事を書いていてふと
「これ、恥ずかしいから書きたくない」
と思い手を止めた。ノートに綴る日記なら、余程のことがない限りは一生公開されずに済むだろう。だがネット上であるということはいくらでも人目に触れる可能性はある。見知らぬ誰かに読まれて「ふうん、この女は酔っぱらって誰彼かまわず電話をかけまくってことごとくうざがられてるのか、人望がないんだな」とか思われることを想像すると恥ずかしくてしかたない。
日記に書けないような振る舞いはしないでおこうと心に誓う。
そう、恥の概念が欠乏しつつある者にとって、人目に日記を晒すということは非常に良い緊張感を日々の生活にもたらしてくれるものなのだ。
この発見、なかなか有意義である。