今夜はオリオン座がとてもはっきり見えた。他にも星がたくさん輝いていて、ああそろそろ冬だなと実感する。
小学生の頃、理科の宿題で星座の観察というのが出た。友達と一緒に夜の9時過ぎに道端の雪山に登り空を見上げた。こんな遅くに友達と会ってる、という非日常に浮かれはしゃいでいた私は、空を仰いだ瞬間息を呑んだ。
空に浮かぶ巨大な図形。教科書や図鑑で何度も目にした事のある四角の中に星三つというデザインが、想像を遙かに超えた存在感を以てそこに在った。その時初めて私はオリオン座を見た。
子供の頃からあまり視力の良くなかった事もあってか星座を見つけるのが苦手だった。北極星もわからないし北斗七星もカシオペアも大三角も、未だに見つけられたことがない。でもオリオンだけは、そこに在る限り必ず見つけることができる。
何度見ても、なんて大きいんだろうと畏敬の念が湧き上がる。自分は遙か遠くに散らばった星たちを見ているのだなという事を思い出し宇宙の大きさに怖れを抱く。そして、見上げた星を線でつないで名前をつけた遙か昔の人々のことを思い、自分の中に連綿と流れる人間という種族の血を実感して、なにか改まった気持ちになるのだ。