電話とメールによるコミュニケーションの話・恋愛編

恋している相手からのメールには、全身全霊をかけて返事を送る。ぱあっと脳内麻薬が出て、すいっと文章が浮かぶ。が、そこからが忙しい。推敲に推敲を重ね、あらゆる言い回しに置き換えた上でベストの文章を導き出す。
内容だけではない、スピードも大事だ。時間が経ちすぎてもいけないが、あまりに速攻で返信するのも美しくない。時計の針を見つめ気を静め、焦らず刻を待つ。その間に電波状態の良い所に移動するのも怠らない。
今だ!送信ボタンを押す。長年の勘のみを頼りに早すぎず遅すぎずと言う絶妙なタイミングで返信を送る。これはプロの仕事なのだ。
さあ、相手はどう出る?
相手の返信が予想を遙かに超える早さで返ってきた場合、そこから先はスピードの勝負になる。
己のボキャブラリーとセンスを信じ、ただひたすらボタン操作に集中する。ただ一つの打ち間違いも許されない。恋という名の戦場に立たされている今、一瞬の判断ミスが命取りになるのだから―
こういうメール代行屋が現れてくれないものだろうか。どうにも好きな相手には気の利いたメールが打てない。電話も苦手だなあ。わざとつまんなそうな声出しちゃったりなんかして。小学生男子レベルだな。