自転車

今日は虫の居所が悪かった、というのもある。トイレに行きたくて家路を急いでいたという背景もある。それはわかってほしい。

 

通りを歩いていると、前カゴいっぱいに買い物してきたらしき物を詰めこんでハンドルにも左右それぞれぱんぱんに膨らんだ買い物バッグとトイレットペーパーをぶら下げて、荷台につけた子供用イスには3、4歳くらいの幼児を座らせた自転車とすれ違った。

運転してたのは細っこい女性。積載総重量どれくらいなんだろうか。あまりの重さに自転車をコントロールしきれないといった様子で歩行者に突っ込みそうになりながら走っていく姿を見て、

「危ないなあ。今のご時世ネットでだって買い物できるだろうになんでそんな無理するんだよ」

なんて心の中で呟いた。子供を載せてるから事故ったら大変、というよりも、ぶつかられたらたまったもんじゃない、という気持ちの方が大きかった。

 

急ぎ足で自宅そばまで帰ってくると、狭い道の先から某生協の配達トラックがやってくるのが見えた。

道幅はギリギリ。私が脇を抜けるよりもトラックに先に行ってもらった方が良さそうだったので道を譲った。

ノロノロ運転で私の脇を抜けていったトラックに目をやると、窓越しに運転手さんがごめんねって感じで片手をこちらにあげているのが見えた。私は超不機嫌な顔。こんな狭い道でなんなの?誰が頼んでるんだよ。スーパーなんてここから歩いて10分もかからないんだから自力で買いに行けよ、って。

 

 どうよ、この言い草。

 

ネットで買い物できるじゃんと言った直後に配達のトラックに対して超心が狭い対応。

これはひどい。ひどすぎる。

 

運転手さんは嫌な気分だっただろうなあ。ホント申し訳ない。自分のゴミくずみたいな心根に失望した。もう二度とあんな態度とらないと約束する。

あと、配達頼んだ人もごめん。自力で買い物行けるとか行けないとか関係ない。別に誰でも頼んでいいのよ。

だからまあ、ネットで注文できるならそうしてもらってさ。配達してもらって。やっぱり自転車に子供と荷物積んでフラフラ走るのはやめて欲しいなあ。

と、トイレに行ってすっきりした私は迷惑よりも心配のほうを大きくして改めて自転車の姿を思い返したのだった。

 

しかし荷物(と子供)満載の自転車は割とよく見かけるけど、あんなヨロヨロ運転してるのは珍しいかもしれない。そういう自転車に限ってすごいスピードで走り抜けていくことが多い。多分その方がバランス取れるからだろうけど。それか、すっごい急いでるからなのか。

どうしてもって言うなら自転車押して歩くといいよ。幅は取るけどそっちの方がまだしも危なくないんじゃないか?今日の自転車のスピードだったら歩いても大して変わらないわ。それとも押して歩いてもやっぱフラフラするかな。

 

そういえば子供の頃、荷台に従弟を載せた状態で自転車を押して歩いたことがあった。どうしてそういう状況になったのかは忘れたけど、大人用の自転車に従弟を載せて、100メートルばかし先の祖母の家まで歩いた。

私は確か10歳かそこらだったと思う。大人用の自転車+従弟(たぶん5歳かそこら)の重量が辛くて、気を抜くとハンドル持ってかれそうになるし今にも倒れそうで怖かったけど、頑張って歩いた。

あと少しで到着だ、というところまで辿り着いたその時。バランスを崩して自転車もろとも倒れそうになった私は咄嗟にハンドルから手を離した。自転車は私と反対側に倒れ、自転車と共に倒れた従弟はギャン泣き。そりゃ泣くわ。

 

いやー怖い。怖すぎる。一生忘れられない。

ちなみに従弟は幸運にも大きな怪我はしなかったと思う。泣いてる従弟を連れて家に入った私は、周りの大人に「転んじゃったみたい」とか何とか言って事故のことを隠ぺいしようとしたのを覚えてる。同行者がいなかったので完全犯罪が成立したのだ。

そして、その先の記憶は無い。

なんてオソロシイ。

 

まあ、自転車って怖いよね。交通ルールまるで守る気ゼロの人がばんばん運転してる状況がまず怖い。

あと私の、自分だけ助かればそれでいい精神も怖い。まさか古い記憶をほじくり返してまで自分のゴミくずぶりを自覚することになるなんて。

 

とりあえずトイレを我慢して道を歩くと心がとっても狭くなると言うことがわかったので、これからは出先でも計画的に前倒し前倒しでトイレを済ませるようにしたいと思う。最近めっきりトイレが近くなっちゃってねえ。

それからもし自分が通りすがりの人から嫌な態度取られた時は、

「この人トイレ我慢してるからピリピリしてるんだわ」

と思うことにしよう。それで許せるかどうかは別として。