画期的な節制方法を思いついた

あたくしスナック菓子が物凄く好きなのです。
もう、執着に近いくらい好きなのです。

子供の頃に、5コ上の兄によく使い走りをやらされました。
真冬の雪道をさー、近所の商店まで雪漕いでさー。稀にお駄賃50円とか100円とか貰えたりもしたけれど、そんなの滅多に無くてさー。ほぼ無償で尽くしてましたよ。
買うものと言ったらたこ焼きくん(最近見ないな)とかポテトチップス。あとコーラね。

今でも忘れない。あれは小2か小3の頃。当時まだコーラは瓶入りだったのですよ。
その、コーラの大瓶を買って寒空の下を帰って来たら、勝手口の手前の段差が凍ってたのか、滑って転んで瓶を割っちゃったのですよ。コーラは全てこぼれて雪に吸われていきました。
泣きながら家に入り兄に報告した私はさぞや健気だったことでしょう。傍若無人な兄王からもその時はお咎め無しでした。ちなみに涙の要素の比率を言うと

コーラが勿体ない:4、兄に怒られたくない:1、寒い中買い物に行ったことが無駄になった:5

くらいでしたかね。

今思えば何であいつのために買い物に行ってやらにゃならんのだと思いますが。
それを言ったら、すごく嫌な行事(スキー遠足とか)も休みたくてしょうがないのに休まなかったもんなあ。
小5の時に児童会の委員かなんかやってたんだけど、毎朝3年生のクラスに歌の練習をさせに行くとか言う馬鹿げた習慣ができちまって、だけどその3年生のクラスのガキ大将みたいなのに初日にいじめられちゃったもんだから、毎日行くのが怖くてしょうがなかったってこともあった。
その時私がとった行動は、誰にも言えず廊下でシクシク泣くことだったんだよ?なんて可哀そう!だって先生に言ったらガキ大将から報復されると思ったんだもん!恐怖に震えてる人間には言えないよ、そりゃ!先生なんてろくなことしないって思ってたし。
今の脳みそのままあの小5の時に戻ったなら、先生にきっちり状況を報告した上で2度とそのクラスには行かないな。行くわけない。そもそも大人が制御できない悪ガキのことを、私みたいなチビの5年女子がどうこうできるわけもない。
だいたい私はそもそも何で児童会なんてやろうと思ったんだ。くだらん。どうせ自己顕示欲持て余してたんだろ。

ともかくそういう子供時代を送っていたのだけど、それで忍耐力が養われたということもなく、中学、高校、短大、社会人と進むにつれ次第に「どうしても必要なこと以外、嫌なことは絶対やらん」というように進化していきました。
子供の頃我慢したこと思い出すと馬鹿馬鹿しくて腹立ってくるんだもん。
だいたい我慢なんて、ここぞという時のためにとっておくもんだよ。どうしても我慢しなきゃいけないことってあるもん。どうしてもの時だけでいいよ、我慢すんのは。


話が相当ずれましたが、そんな訳で子供時代は目の前をスナック菓子が通り過ぎて行くのを眺めるばかりの日々でした。当時まだそんなにお小遣いを貰っていなかった私にとっては、自分ひとりでスナック菓子を一袋食べるということがこの上ない贅沢に思えたのです。
いつか大人になったらスナック菓子を思う存分食べよう!と、誓ったような気がしなくもありません。

その結果がこのザマです。
前述の、「どうしてもの時だけ我慢すりゃいい」という理屈も手伝って、私はスナック菓子渦巻く暗黒世界から抜け出せなくなってしまった訳です。

一時期、身体がスナック菓子を受け付けなくなったことがありました。
たまにポテトチップス食べてみても、せいぜい半袋くらい。一袋食べるなんてまず無理。自発的に買いたいとも思わなくなった。あの時はほっとしたなあ。やっぱり大人になると食べたくなくなるんだ!と思ったものです。
が、時は流れ気付くとまたいつの間にかスナック菓子に支配される身体に戻っていたのです。何故?!おそるべし、スナック菓子の中毒性!あれは潜伏期間だったのか。幾年過ぎてなお我が体を意のままに操ろうというのか!なんてね。

あんな栄養も無いのにカロリー過多なものを食べ運動をしないでいたらどうなるか。その答えが今の私の肉体です。
っつーか運動してたってだよ?この40目前にした身体がスナック菓子毎日食べてりゃそりゃ太るわ。
太るし、なんかもう血がドロドロで体の中がスカスカになってるような気がします。
食事もそんなにまともとも言えないし。


で、タイトルです。
そう、前置きが長くなりましたがこのたび画期的な節制方法を思いついたのです!

昨日「ガラスの仮面」の劇団つきかげ創立時のエピソードを読んでいましたら、つきかげ先生が寮の食事すらも演技レッスンに利用されてまして。
5人の育ちざかりの少女たちに、無対象で上手く食事ができたら晩御飯を食べさせてあげましょうといいうもの。ひどいです、月影先生
無対象って言うのはあれです。対象となるものが無い状態で芝居をやることです。ドアが無いところでドア開ける芝居とか、湯呑が無いところでお茶飲む芝居とか。演劇だとだいたい小道具も大道具も用意されることが多いですが、コントだと無しでやることが多いので無対象動作が上手いと伝わりやすくて便利です。

マヤが上手にラーメンをすする描写を眺めながら私はひらめきました。
そうだ!これからはスナック菓子を無対象で食べよう!と。
今まで20年以上に渡りスナック菓子を貪ってきた私です。何を食べたら手がどれくらい汚れるか、菓子の手触りから重さ、そして味の詳細にいたるまで、感覚を蘇らせることくらい容易いものです。

感覚の再現。そう、それによって私の脳は満足するのではないか!
これ、夜寝る前にお腹空いた時にも応用できるんじゃないの?
どうよ!

ちなみに恋愛については妄想で節制できることが実証済です。
ストーカー気質の人や恋愛依存症の人におすすめです。想像力を養ってどんどん脳内で恋愛しましょう。中途半端じゃダメです。好きな人と同棲して結婚して離婚するくらいまで妄想しましょう。
片思いでも両想いでも応用可。自分の望むことはみんな脳内でやってもらえるので、現実に期待したり過度に依存することが無くなります。メンタル面での我儘はこれで解消。
依存症なんて正攻法でいったってなかなか解決できないんだから、時には騙しも大事っすよ。嘘も方便ね。
セックスは1人じゃできないんでどこかで調達しないとならないけど、精神面の問題抜きで肉体の快楽だけのセックスに溺れるってことはまあそうそう無いでしょう。溺れたら溺れたでセックスだけなら頑張ってお金稼いでお金で買うこともできるわけだし。精神の欲求と肉体の欲求を混同しないことがポイントだわね。

すげーでしょ。これこそ進化だ。


ともかく今日から罪悪感無しでスナック菓子を食べまくろうと思います。
さて上手くいきますかどうか。