途中

いろんなことをやりかけの状態なのである。あっちゃこっちゃ。
日記も書いては消し書いては消し。


土曜の夜、発条の事務所でちょっと作業してたら眠くなったので、まあこれまた作業途中だったんだけど床に横たわって適当な感じで寝た。ええと、21時過ぎくらいか?

ガチャガチャと音が聞こえて目が覚めたら、あれは24時よりは前だったろうか。
加茂克が玄関開けて入ってきてるのが見えたので、寝ぼけながらも起き上がっておはようございますと(夜だけど)言おうとしたら、なんだか見たことないような顔で言ったんだ。
「やっくんが事故で。・・・ニュース見てない?」
一瞬で目が覚めて携帯を手にとったらば誰かからのメールやら着信があった。でもそれより先にネット接続して・・・見たら、


その後は誰と話したっけか。なみえとは電話で話したっけか。でもお互いにヒソヒソと、何も具体的な言葉を発さずに喋って、なんだ何話したんだろう。
あと共通の、連絡をくれた友人と。


泣くどころかショックだとかそういう気持ちにさえならないまま、その日は事務所に泊まった。
加茂克とは何も話さなかった。話しかけないでくれた。
きっと変な時間に眠ったからだろうけど朝まで眠れず、ただ、ぼさーっと横になっていた。
朝になったので支度をして台本の打ち合わせに行って、先方の演出家さんと主宰さんと面白いネタをいろいろ考えながら笑いながら打ち合わせして、帰ってきたらいつの間にか夕方になっていて、その時急に、やっと、何が起こったのか気付いた。気付いたというか、わかったというか、
事態を飲み込んだと言うべきか。

前夜に聞いて、それが夕方だよ?
脳に伝達されるまでの時間がそんだけかかって、本当に恐竜かってくらい長かったので、私は、そうかやっぱり私は不感症なんだと思いながらその夕方までを過ごしていたんだ。
でもまあ、いっそ不感症でも良かったかもしれない。

事態に気づいてしまってからはもう、まず一人でいるのが恐ろしくて、何かしなければいけない誰かと話さなくてはと思うのに、誰にも会いたくないし何も言葉にならない感じで。
でもそれがほんとに自分の感情なのかどうかちょっとわからなくなってしまって。



なんだかよくわからないな。
それにこんなこと書いて何があるんだろうか。
この、これを思い出してどうするんだろうか。誰のため?自分のためか?

まあ、いいや。



やっぱりまたなみえに、本当は電話したかったし会いたかったけど言葉が出てこないし何をどうしたいのかもわからないのでメールを送った。とりとめのないメールだったけど返してくれた。免疫魔神のエピソードの中でも強烈なのを書いて送ってくれたもんだから、ああそんなのあったなあ!と、メールを読んで思い出し笑いした。それで少し落ち着いた。
他にも心配して声をかけてくれた人がいた。ありがとう。
そうだ、今日意外な人がひっそりと遠巻きにメッセージをくれたんだ。すごく嬉しかった。


またなんだかぼんやりしてきてしまった。
今に限らずいつものことなんだけど、本当に私はものをつくる人間なのだろうかと疑わしくなるくらい言葉が出てこない。


そうそう、恐ろしくなったり頭の中がわーってなってる時に初めて、「なんで?」と思ったんだ。
なんでも何も、理由なんか無いんだ。理由があってその時を迎えるんだとしたら、やっくんのその時はまだずっとうんと先であるはずだ。
でも、理由が無いならないで余計に、なんでこの人なんだろうと思えてしょうがない。

なんでなんだろう。理由なんか無いんだろうけど、でもなんでなんだろう。
なんでよ。

やっくんという人は、たぶん何がどうでも誰に対してもどこにいても、まるで変わらない人なんだろうなと、思う。
くさいこと、熱血なことを口にするんだ、よく。
でもさ、不思議なことにそれを聞いた時に茶化す人ってのが全然いないんだよな。なんなんだろう。
しかしそりゃそうか、そんなことをギャグじゃなくて本当にそう思って大真面目に言ってるんだから、そりゃ茶化す気になんてならない。
茶化されてもやっくんは動じない。

私はやっくんの言葉に対してよく、「この人何言ってるんだろう」と、皮肉じゃなく心底疑問に思うことがあった。
ん、これ誰かも言ってたなあ。なるよなあそういうふうに。何言ってるんだろうって思うよなあ。
だって不可思議だよ、やっくん。
私は長らく、やっくんという人が本当によくわからなかった。
今は、ちょっとよくわからない、くらいかな。


やっくんが言ったことで一番覚えているのは、
「夢を叶える方法は、努力すること。努力すれば絶対に夢は叶うんだよ、叶わないとしたら、それは努力が足りないからなんだよ」
という言葉かな。
なんという前向きな言葉。前向きというかそれはもう、力技だろうというくらい。

3年前、免疫魔神10年ぶりの再結成だ!となった時。ああもうそれでも3年も前か。
衣装を買いにみんなで池袋に行ったのかな?みんなでだよ、楽しいな。
その後で居酒屋に行ってちょいと飲んで、そこで力説してたのだよ、やっくんが。ものっすごく熱こめて。いつも通りに。
私はその時どこでそれを聞いていたんだろうか。やっくんの隣の席にいたのか、それとも一番離れた席にいたのか。ひどい記憶力だな。
安居酒屋で、まだ夕方の4時とか5時とかだったもんだから客は少なかった筈なんだけど、なんとなく店内はザワザワうるさくて、その中でやっくんのその言葉だけはハッキリ覚えている。なんて説得力があるんだろうと思った。

だってさ、ってことはだよ?努力をすれば手に入るってことなんだから。努力をすること・頑張り続けること自体がそれだけで大変なことではあるけれど。
でも、夢に手が届かなくて苦しい時でも、手が届かないのは何故なのか理由がわかっていれば、それだけで道しるべができるじゃないか。なんて希望のある言葉なのだろうか。漠然と手を伸ばし続けることの恐怖を吹き飛ばす、なんていうシンプルな考え方だろうか。
それを、やっくんが言うのがまたものすごく似合ってると思った。このセリフが綺麗事に聞こえないって、どういう人なんだよ。
ああそうだなあ、でもその時はもう不可思議とは思わなかった気がする。ああ、そうかってすんなり耳に入ってきたなあ。
だからこんなに努力できるんだろうなと思ったし、だから売れたんだろうなと思った。
今思えば、その時もその後も努力し続けて活動し続けていたのは、ちゃんとその先に夢を持っていたからなんだろうな。


やっくん、メイクするのがすごく速かったわ。
30もとうに過ぎた男がどうしてあんな一瞬にしてあんなに綺麗になるのか。ほんとにちょっと目を話した隙にもうメイク終わってカツラ被ってるくらいの速さ。そんなに作りこんでる訳じゃないのにガラッと変わるのが驚異的だった。

竹内くんは、事ある毎に「あばれ(ヌンチャク)、仲悪いから」と言ってたなあ。
っつうか、2010年の段階でも「あばれ仲悪いから」って言ってたし。お前ら解散したんじゃないのかよ、って。
まあ、でもあばれはあばれだもんね。消滅するわけじゃないから。

2010年のライブではあばれネタを一本入れたんだよな。そのネタだけは快児さん作じゃなく2人で新たにネタ作りして楽しそうだったわ。みんな全ステージ舞台袖で観てた。
そういやつい先日、「ゲーム“スペランカー”がノベライズ化」というニュースを見た時に、あの時のあばれのネタを思い出したっけ。

やっくんて芝居が上手いから、微妙なニュアンスを伝えるようなネタも上手いんだよな。
すっごいベタなのとか古典的アクションもよくやってたけど。
あと、ニッコリしながら容赦無くブラックなこと言ったりね。柔軟で混沌とした人だ。


ああ、どうとでもないことしか思い出せない。
そして、私は本当に、お芝居とお笑いを一緒にやった時間ほんの一瞬しか共有していないんだな
免疫魔神以外だと本当に接点が無い。まるで無い。
残念ながら友達とも言えない、ただの古い知り合いみたいなものだ。まるで通りすがりだ。

でもやっくんってさ、言ってくれるんだな。何かまあ話の流れで、例えば誰かがやっくんにありがとうって言った時とかにさ、
「なんだよ、だって友達じゃん」
って。
言うか?普通そんなセリフ!だって友達じゃん、なんて!
言うんだな平気で、やっくんは。ずーっと会ってなくたって、久しぶりでも何でも。
そんでもってその友達じゃんってセリフをさ、私にも言ってくれるもんだからさ、だからまあ私もやっくんは友達だって言っちゃってもいいかな。人前じゃ言わないけど、思ってるくらいいいわな。

なーんて、ずーっと密かに思ってたんだ。なんだそりゃ。暗いなあ、私って。



今日は、いつもお世話になってる劇場の、いつもいつも本当にお世話になってる人と話してきた。作・演出をやってる方。いっぱい芝居の話をして、来年の話がまた少しだけ具体的になった。

まるで躊躇なく私は前に進んでる。牛歩だけど。
牛歩?ダメだな、努力が足りないな。

そういや「ダメだよチエさん〜(※以後ダメ出しが続く)」もよく言われたな。っていうか、最年長なので呼び方こそ“チエさん”だけど、やっくんに限らずよくみんなからダメ出しもらったな。なんていい人達でしょう。




なんだか、
なんか、
なんでなんだろう、って


だけどやっぱりまだもうちょっとあれだ、うん。

ぼんやりするならしてもいいから、また横たわっていろいろ思い出すままに任せよう。
ちょっとまだあれだわ。


しまらない日記になっちゃったけど、
ちょっと途中だけど、