芝居と映画とライブと

昨日の昼はこまつ座の公演を観に行ってきました。井上ひさしさんの「うかうか三十、ちょろちょろ四十」。
これ、二十代の前半に書いた作品なんだって!凄いなあ。デビュー作?なのかな?
そして、タイトルは超有名だと思うのですが、こまつ座で上演されるのは初だとか(こまつ座以外では、ある)。へえええ。

シンプルなストーリーに、心地よいセリフ。ああ、言葉のチョイスも音で聴いたときに感じるリズムも、本当に見事なんだなあ。
主演の藤井隆さんの芝居は今まで吉本新喜劇くらいでしか観たことなかったのですが、確かに「藤井隆」って感じでそこに存在していながらも完全に役と混ざり合っててとても自然でした。切なくて、面白くて、過剰では無いのにきちんと引っ掛かりを残してくれる(←私の大好きなパターンですな)芝居でした。
ヒロインの福田沙紀さんも華があって可愛くて、ザ・ヒロインという感じで良かったです。ザ・ヒロインではあるのだけど、明るくて可愛くて現実離れした雰囲気の中に実はすごくシビアでしっかりした面があり、渋い人物なのです。
だからなんで二十代前半の男性がこういう女を描けるのかっていう・・・。

セットも綺麗でした。
ああ、余計なこととか余計なものをそぎ落とした芝居って、なんて面白いんだろう。

私が観た回は終演後にアフタートークショーがありまして、民俗学者赤坂憲雄さんのお話を聞けました。自分の足で東北の地を歩く、いわゆるフィールドワークを主としている人だそうな。
この先生のお話がまた面白くて。そして聞きながら、
「『ソンデネヴァ!』はよく書けた話だったなあ」
と思い出し自画自賛をしてました。
知識と言うより感覚の部分で自分が同調してないと書けないものというのがありますから、その点で「ソンデネヴァ!」は東北の地のことをまあまあ理解して(しようとして)書けてたのではないかなと。先生のお話を聞いてて思い当たることがあった訳です。
良かった良かった。

しかしまあ、井上ひさしさんの戯曲作品に触れるにつけ、その優しいことばの奥底の、深く深く広がる世界を垣間見るにつけ、自分の書く言葉のどれもが物凄く軽くて浅いものに思えてしまいます。

私はものを創ることにおいては知識は絶対必要だと思っています。それでいて、どんなにたくさんの知識を仕入れても結局自分の感覚を頼りにものを書くしか無いわけですが、その感覚というものは本当に常日頃磨いていないといけないなと改めて思うのです。
つかう言葉も、たくさんの言葉を見聞きして手に入れて、またたくさんの言葉を自分の中から生み出さないといけないのだなと。

こんなご立派そうなことを言ってますが、昨日も夢中になって観劇していたので、全て後付けで考えを巡らしたことなんですが。
つくづく上手いなって感心して、感心しつつも夢中で観られる面白さがある。
ああ、そういう芝居が書きたい。
やってることは全然違いますが、本質は同じものだと思うのです。
ああ、書きたい。創りたい。


夜は、招待券があったのでラピュタ阿佐ヶ谷のレイトショーに行ってきました。
「赤線本牧 チャブヤの女」。
これは、日活のいわゆるロマンポルノっていうやつなんでしょうか?
翌日の市川崑監督の「野火」と迷ったのですが、「チャブヤの女」は2.26事件の時代の話だそうなのでまずはこちらを観ておこうと決めました。
別に必ずしも勉強するために観るものじゃないと思うけど、映画って。まあ、何となくです。
そして実際、2.26事件の話がズバリ出てくる訳ではなかったのですが、そこに流れる時代の空気というものは、私の血肉になるんだろうなと。
本が好きで読み漁っていたら自然と国語の成績が良くなるようなもんですかね。なるといいな。

ちなみにラピュタ阿佐ヶ谷って、会員になると映画一本800円で観られるんですよ(通常は1200円、水曜サービスデーは1000円)。しかも観劇5回、10回、15回毎に招待券1枚ずつもらえて、20回目には招待券2枚もらえて、20回目以降は4回毎に1枚招待券もらえて、
さらに、1年に1回更新する度に招待券2枚もらえるという。
招待券もらえ過ぎです。
お得でしょ?

とは言え私もそうそう足を運ばないのです。
今年はたくさん行きたいなあ。

映画は面白かったです。いろいろな意味で面白かったです。
1975年の映画。女優さんを観ていろいろ思いました。
主演の女優さんはハーフのような美貌の持ち主でした。
うーん、凄かったな。
いろいろな意味で凄かったです。
そういえば、ナレーション初井言榮って書いてありましたが、声聞いても全然ピンときませんでした。
あー初井言榮さんが亡くなってもう20年以上経つなんて嘘みたい。まだ60歳くらいだったんだよなあ。
とか、思ったりしました。


そんでもって今日の夜はフチモトリョウさんのライブに行ってきます!

『岡田健太郎×フチモトリョウ オレとアイツの往復書簡 3』
  in四谷の小さな喫茶店 homeri(東京都新宿区三栄町25-33 Bow2F)
op.19:00/st.19:30/¥1800 + 要オーダー
出演 岡田健太郎/フチモトリョウ

岡田健太郎さんという人は、帰ってきたゑびすという劇団の劇中歌なんかも作ってた方です。
発条も是非、フチモトさんに楽曲依頼をしたいところです。
二人ともピアノ弾きです。ピアノ大好物の私にはもう何て美味しいライブなのでしょうか。

咳・・・夜まで悪化しませんように。
っていうか、明日の夜も芝居を観に行くので、それまで悪化しませんように。
なにとぞなにとぞ。