喉もと過ぎるやいなや

今日はね、「大変だった話」を盛大に繰り広げますよ。苦労話を恥ずかしげも無く語ります。

こないだの「ソンデネヴァ!」なかなかに衣装・小道具が大変でした。舞台セットも仕掛けがかなり大変でしたさ。
私は主に布ものの担当だったのですが、もうね、一生分ミシンをかけましたよ。

アイヌの服は和服と似てるけどもうちょっとシンプルなので、忠実に作っても服そのものの形を作るのは難しくないです。長い布を2枚切りだして(本来は2枚「編んで」)縫いあわせて袖をつけるだけ。袖の作りも目からウロコの簡単さだし、動きやすい仕組みになってるしでいいことだらけ。

ただ、それを9着+津軽の民の着物2人分+各種装飾となると、かなり大変でした。来る日も来る日も布切ってミシンかけて試着してもらって直して・・・かなりスケジュールに余裕をもったつもりだし家にいる間じゅうずーっと作業してたにも関わらず完成予定を大幅に過ぎて、なんと初日は装飾が間に合ってないものも実はありました。更に下履きが5枚とワンピースも作ったのだけど、この辺はもう劇場入りしてから全部役者の皆さんにやってもらいました。装飾も。帯とか脚絆も、あれだけ人数がいたらやってもやっても終わらなくて!最終的にはただ布切って巻いてもらっただけ。
もうちょっと私が手馴れてたり予定通りに進行できれば人に手伝ってもらえたんだけど、何せ手探りでやってるので作業がふれないという。ああ、衣装さんの存在って大きいんだわ。
そして家庭科2の腕前を発揮した、出来上がりの汚さ!今回は土着の民の衣服なのでボロボロでもOKだったのが救いです。

北海道アイヌだけでなく樺太アイヌのデザインもまじえて楽しいデザインをいっぱい考えたのですが(加茂克のつけてた帯なんて超お気に入り!)、やむなく省略した点も多々あります。惜しいなあ。デザインはできないので、八重洲にあるアイヌ分化交流センターで、山ほどのカラー写真集に埋もれてずーっとスケッチしてました。楽しかったあ。もちろん本当の刺繍をしてたら終わらないのでそこは簡略化しましたが。それでも時間がかかりました。
でも、まあ物理的に限界までやってできなかったもんはしょうがないし、パッと見はアイヌっぽく見えたらしいしおおむね良かったでしょう。

そんな状態でしたので、全て作り終わった時にはもうしばらく布は触りたくなーい!と思ってたのですが、終演から2週間経って、何やら布とかミシンにじわじわと引き寄せられる感覚に襲われております。

キャミワンピースとか羽織物は型紙無くても作れるくらい単純だし、服が欲しい欲と布を触りたい欲を両方満たしてお財布に優しいというとても魅力的な誘惑ではあるのですが、実はまだ公演の残務処理も残ってたりするのでこれは現実逃避なんでしょうな。

ああ、あんなに思う存分イヤってほど縫い物したのに、なんなんだ!

やらなきゃならないことがぜーんぶ終わったら好きなだけ作ればいいさ。
けど、そんな日が来るのでしょうか、この私に。