面白かったあ

タイトルは、昨日の稽古場にて通し稽古を観た後の私の心の声です。

何が面白かったって、本番まであと10日という今になってようやくそれぞれの登場人物が命をもち、場面に色がついてきたことが面白かったです。
ほら、まだまだやろうと思ったらいくらでも方法があるでしょう?気持ちが付いてくるでしょう?という。役者の可能性が実として表れてきたことへの面白さ。ははは、どうです、この偉そうな言いっぷり!
しかしながら実際、このまま集中を切らさずに日々の発見を形にしていけば、きっとお客様にも存分にお楽しみいただける芝居になることでしょう。

私自身の出番は、前回と違って(というか普段通りに)ちょっぴりだけなので、今回は思う存分芝居を観られます。いや、見られます。

正直なところ、私は何より自分が面白いと思うものを創りたいのです。
人のためより自分のため。
なんて素晴らしく利己的なんでしょう!

「人は誰かのためを思ってこそ強く頑張れる」という言葉を耳にすることがありますが、
誰かのためより自分のための方が頑張れるという人間も確実に存在するのです。私がその一人です。

全力で、他の誰でもない自分のために貪欲に妥協せずにガツガツと創り上げた世界を、皆様にご覧いただけましたら幸いです。

そんなエゴに満ちた傲慢な私の創った作品ですが、登場人物たちは一様にお人好しで間が抜けてて一欠けらの財産も持ってないような奴ばかりでヘドが出そうです。
今回もまた、未熟で小さなものたちが地味に地道に歩いていくようなお話です。
ぱーっと派手で、何の苦労も無く異性にもてるような、金にも困ってないような、そんな人物が出てきてもいいようなもんなのに、芝居の中でくらい。

役者も恥ずかしい職業だと思うけど、演出家や作家もそうとう恥が多い仕事だと思います。
自分とはまるで違う役を演じ、自分の思いとは違う思想をセリフに乗せていても、そこにはその役者自身、作家や演出家自身の人間と言うものがにじみ出るのですから。
観客の前にこんなにも包み隠さず人間をさらけ出して、表現者って軟派・硬派に関わらず、やっぱりみんな露出狂の快楽主義ばっかりなんですねえ。マゾヒスト揃いでもあるかもしれない。

本番まであと10日、稽古期間はあと6日。
依然として遅れているのはスタッフワークのみ!ぎゃあ!

んー。まあ、なるようになるもんです。