禁断のサイト、欲望の高まり

ついうっかり、
「猫 里親」
と検索してしまいました。
出来心で・・・。

ああ・・・
やめておけばよかった・・・・・・。

かわいい写真を見てウキウキする性質のサイトではないことくらいわかっていたのに、どうして私はこんなサイトを開いてしまったのでしょうか。
いや、みんなかわいいんですよ。
子猫も成猫も、老猫だってブサイク猫だってふてぶてしくたって巨大だって、みーんなそれぞれかわいいんです。

しかし・・・。
わかってるんです。私だって、ただウキウキするためにアクセスした訳じゃない。
ああああ猫飼いたい猫飼いたい猫飼いたい!!!

この子達はみんな貰い手がちゃんと見つかるんだろうか。
そして私は・・・
うーん・・・新しいアパート探そうかなあ。

まだ目も開かない乳飲み子(♀)を預かってるうちに情がうつってしまい引き取ったことがありました。
その時は先住猫(♂)が子育てと躾を手伝ってくれたおかげで、喧嘩っ早くて逃げ足も速い、怪我はあまりせず、巨大な獲物も臆せず狩る、それでいて愛され上手の素敵なレディに育ってくれました。私と同じですぐエキサイトする割に、次の瞬間にはケロッと機嫌が直る子でした。
その子の避妊手術をする頃に先住猫は家出してしまい、その後はずっと彼女とふたり暮らしをしていました。
そんな彼女も8年住んだ(私は10年)部屋を引っ越す頃に家出をしてしまい、それっきりです。
新しい部屋で彼女が泣きわめくのをなだめつつ、慣れるまでの辛抱、とばかりに部屋に閉じ込めていました。
それまで住んでたアパートは、大家さんちの鬱蒼とした森のような庭が窓の外に広がっており、狭い路地の曲がり角のあたりに建っていて、しかも軽自動車でも曲がるのに苦労するような急カーブのため車がほとんど通ること無く、通ってもかなりの徐行運転なので安心でした。周辺には飼いネコやら野良猫やらがうろうろしていて、お互いにお互いの家の猫を可愛がってるようなステキな環境でした。
でも今度の場所は違う。

猫のためでもあり自分のためでもあり、そして当然ながら周囲に住む人のためにも、室内飼いに変える必要がありました。
部屋が変わったうえにその部屋に閉じ込められ、彼女はどれだけのストレスを抱えていたことでしょう。
引っ越して3日も経たないうちに、私がうっかりミスで薄く開けたままにしていた窓から彼女は出て行ってしまいました。お正月の時期でした。

引っ越した時に換気扇が壊れていなければ、料理をするのに窓なんか開けなければ、そして何より自分が窓をちゃんと閉めていれば・・・という後悔が、それから7年経った今でも消えません。7年?うわ、もうそんなに経つのか!

そう、もう、猫不足のままの人生にそろそろ限界を感じているのです。

実家には17歳になる猫が3匹います。女の子2匹と男の子1匹。他に兄弟が2匹いたのですが、1匹はかなり前に亡くなってしまい、もう1匹もそれからしばらくの後に亡くなり、彼らのお母さん猫は去年亡くなったそうです。

お母さん猫は、冬を迎えんとしている旭川の路上でうろうろしているところを私の母にとっ捕まり(会社の近くで毎日見かけていたらしい)我が家にやってきたのですが、その時には既に身重でありました。おそらく最初に迎えた発情期で妊娠したであろうということが容易にわかるくらい、彼女はまだ子猫のような風貌をしていました。
我が家にやってきたお母さん猫は、まったく臆することもなく我が家に馴染んだかと思うと、間もなく5匹の子猫を産んだのでした。
子猫の時は5匹のふかふかの子猫が全員一丸となって紐にじゃれついてきたりして可愛かったのですが、あまりの猫の多さに家の秩序が保てなくなることを懸念した我が母が、居間の隣にある4畳半ほどのピアノ部屋を改装し、そこに彼らを住まわせることにしました。窓の外にはサンルームを作り、なかなか贅沢な部屋でした。ステレオセットも大きな本棚も、段ボールで周囲を囲われて、猫の遊び場となり果てました。
食事とトイレの世話をする我が母は、さながら通いの家政婦さんといったところでしょうか。

そうして人間と隔離して生活させているうちに、猫達、特に女の子2匹は、人間に心を開かない子になってしまいました。
お母さん猫の「にゃんこ(キジトラ)」はちょっときつめの美人猫で女王の風格すら漂っていましたが、うちの家族や来客などにもほどほどに愛想を振りまくことも忘れませんでした。一応誰のおかげで一家が生きていけるのか、くらいはわかっていたのでしょう。あくまで彼女の方が優勢ではありましたが、あまり可愛げがなくても外交的に問題があるだろうとの判断だと思われます。

長男(と勝手に思っていた)の「エドガー(キジトラ)」は、一番人懐こくて、一番身体が大きくて、顔もとってもハンサムでした。母が一番可愛がっていたので、この子が亡くなった時は私は母のことが心配になりました。既に東京に来ていたのですが、電話で報せを受け、母と共に泣きました。
猫が死んだことくらいで電話するなんて・・・という遠慮が見えましたが、私はまったく気になりません。むしろ報せて欲しいし、一緒に悲しみたいです。
その後、うちの猫が亡くなっても母は電話をかけてきませんが、遠慮してるんだろうなと思うとともに、それでも我慢できないくらいエドガーの死はショックだったんだろうなとも思います。

「ランちゃん(キジトラ)」と「スーちゃん(シャム猫風。ちょっとだけ薄い縞が入ってる)」は、私が帰省しても物陰に隠れてしまうくらい人間に慣れていませんが、今も元気に暮らしています。
「クロ(真っ黒!「バビル2世」のロデムのように美しい!)」も、生まれつきの持病はあるものの、今も静かに暮らしています。彼も臆病だけど、女の子達ほどでは無いようです。

「ポゥちゃん(スーちゃんと同じ、シャムっぽい風貌の子。男の子だけど母がちゃん付けで呼ぶので)」は、エドガーの次に懐っこい子だったのですが、旅立ってしまうのもエドガーの次でした。この子はシャムっぽいけど寄り目のスーちゃんに比べるともうちょっとハーフっぽくて、可愛い顔をしてました。いや、スーちゃんも可愛いよ!みんな可愛いよ!クロはかっこいい!
ちなみにランちゃんのことを最初男の子だと思っていたので、エドガー、アラン、ポー、と名付けました。その後女の子であることが判明したため、エドガー、ラン、ポー、になりました。
命名は全て私です。センス・・・。

ちなみに私が東京で飼った一匹目の猫は「もなか(茶トラ)」、次に来た猫は「クロ(サバトラ・幼名はもなかの妹なのでアズキ)」です。実家で最初に飼った子はアメリカンショートヘアーと和猫の雑種で、「太郎」です。この子は親からもらった病気のために、2歳を待たずに亡くなってしまいました・・・。

動物に「亡くなった」って使うのはどうよ、ってずっと思ってたんだけど、こうして文字に表そうとすると、自然に「亡くなった」と出てしまいます。まあ、母にとっては自分の子みたいなもんだしとか思うと、そういう表現になるもんだなあ。

ついでに、子供の頃飼ってた犬は「チョロ(姉命名。姉が学校の帰りに拾ってきた)」、私が東京でバイト先のレタスから救出して連れて帰った蛾の幼虫は「蛾太郎」。
蛾太郎、小さい時はほんの5ミリくらいで、身体が透き通ってて実に愛らしかったです。レタスを洗おうと葉をむしってたらそこに彼がいて、ん?何?って感じで首というか上半身をもたげて辺りを見上げる様は、ミーアキャットとかウサギとか、哺乳類と変わらないくらい可愛く見えました。
我が家にやってきた蛾太郎は、サラダ菜の入っていたプラパックの中で毎日、レタスを食べて透き通った緑色のうんちをして、どんどん大きくたくましく黒っぽくグロテスクな青年に成長していきました。
が、季節は冬。
レタスの布団の中でさなぎになった彼は、そのまま目を覚ますこともなく・・・。
まだ寒い頃に公園の土の上に置いてきましたが、あの子はどうなったんだろう。今だったらもっといろいろちゃんと調べて最善が尽くせたかもしれないのに・・・。

ハタチの時、山でアオダイショウのような綺麗なヘビをとっ捕まえて家に連れて帰ったことがありましたが、母に「可哀そうだから返してこい!」と叱られました。名前を付ける前に両親が車で山に返しに行きました。

前のアパートにはよくヤモリやカマキリが出たものですが、今のアパートでは見かけません。ネズミも見ません。
たまに出てくるクモ達だけが癒しの存在となっています。

ああ・・・・・・。
動物だったら何でもいい。鳥もいいなあ。鳥可愛いよなあ。爬虫類もいいなあ。でも難しいかなあ。

ああ・・・・・・・・・。
猫が飼いたい・・・・・・。

そういえば父が倒れた時だったか、実家に2週間ほど帰った時がありました。その時、夜中に猫達の部屋にお邪魔しました。
あの頃はまだにゃんこも生きていたので、4匹いたのかな。
猫部屋の中に入り、4匹が全身からみなぎらせる緊張感の中で床に横たわり、しばらくそのまま猫の様子を横目でみつつ寛いでいると、次第に猫もリラックスして、毛づくろいしたりゴロゴロしたり、もちろん私が身体を動かすとまたすぐ緊張は戻るのですが、彼らが緊張を解くまでゆっくり時間をかけさえすれば、こんな風に過ごすこともできるんだなあと嬉しくなったのを思い出します。

あと、最初に飼ってた太郎の思い出は何と言っても、猫嫌いだった父が夜中に酔っぱらって帰ってきて、太郎、太郎、と呼びながら太郎を抱っこして頬ずりしていたことでしょうかね。
子供の頃に化け猫映画を観て以来猫が嫌いになったという父も、今では立派な猫好きです。猫バカになるのは酔った時だけみたいですが。


ああ。
ああ。
ああ。
猫が飼いたい。

猫も犬も捨てないでね。外に出す犬猫は避妊と去勢を絶対にしてね。
普通の町では野良として生きることが許されていないから。待っているのは死だから。処分する施設の人たちだって辛いから。
彼らを殺さないでね。新しい命を捨てないでね。