観てきた。語る。

劇団ふりぃすたいるの名シリーズ『白河荘の人びと』の最新作を観てきました。
私がどんだけ白河荘のファンかというのは、2012年の1月31日の日記を読んでいただくとして・・・

今回は、白河荘の住人のひとりである地下アイドル(って言ったらあれなんですかね。アイドルの卵?)の、夢乃R@iMuちゃんが主役でした。可愛かったです。R@iMuちゃんのいいとこは、普段はアイドル声なんだけどまともに喋るととってもたくましくて力の有るイイ声をしてるってとこでしょうか。いいよな〜。
演じる豊原ケイちゃん本人はわびさびのある美人で、役によって若々しくも大人っぽくもしっかり者にも可愛子ちゃんにも見えるという不思議な女優さんです。
オカマのハル子さん(どうでもいいけどこの人は女装の同性愛者、ということで良いんだろうか)も前作で初めて登場した時よりずいぶん自然に女らしくなってて、どこで修業を積んだのやらという感じで良かったです。

さてしかし、白河荘ファンとしてあえて言わせてもらえば今回は私的には少しばかり物足りなかったです。
いつもよりシリアス度が高いというか、サブタイトルの「〜なんてったってアイドル〜」の縛りが強かったというか、その占める割合が大きくてそこに時間を取られていた感が強かったというか。

私が白河荘で観たいのは、もっとこう、だからなんだよ的な馬鹿馬鹿しさとか、住人の何の脈絡もなく繰り出す一芸披露とか、ことあるごとに「それじゃあ飲みますか」と宴会を始めちゃう場面(大好き!)なのですよ。
いや、馬鹿馬鹿しさも一芸披露も宴会もありましたけど、
無意味なやり取りがもっと欲しい!マジックもっと観たい!歌もっと聴きたい!南雲のアホな時間がもっと欲しい!柳繁之の本気のオタ芸が観たかった!というね。もっと!もっと欲しいの!って感じなんです。
そして白河荘にいつも流れている「“いつもの”感」を、もっと感じたかったのです。
思い悩むR@iMuちゃんと、それを一所懸命励ますフィリピーナのマチルダとか、可愛くていいシーンだけどさあ。それについての崩しも同じくらい欲しかったんだよねえ。

・・・こうやって書いてると、ほんとファンって好き勝手言うわね、と我ながら呆れちゃうんですが。

本人達のやりたいと思うことがあるだろうし、新しい道を切り拓こうという気持ちを持つのも創り手として当然のことだし、お客さんはみんな楽しんでたんだから実際何の問題も無かった訳で、何やかんや言うのはただただ私個人の趣味としての話なのですが。

でも、もしも毎回同じことをやってもらっても、客席にいる私や私以外のファンの人たちは全然飽きないと思うんだあ。
毎回どうでもないことであれやこれやガヤガヤしてる空間を観るだけで充分楽しいと思うんだあ。

それは決して馴れ合いということではなくて、むしろ毎回のお約束事をいつも新鮮に見せる、このうえない熟練の技だと思うんだあ。

実際私が初めて観た時は既に白河荘はシリーズものとして定着していてお客さんのほとんどが常連さん風であったにも関わらず、私は全く疎外感なんて感じずに楽しむことができたんだもん。
客席に心を開いてる創り方・演じ方であるからこそ、初めてのお客さんだってすんなり入って行ける。それが白河荘のすごいところで楽しいところだと思うんだ。
(ん?待てよ?私が初めて観たのはいつだ?やたらウォシュレットにこだわりがある、って話は覚えてるんだけど・・・)

芝居の上手い役者さん達が日々の積み重ねと努力で技術を磨きアイディアを絞り出し、創り上げるのが「どうということもない日常」「馬鹿馬鹿しいひと時」っていうのは、実は物凄く難しい(いろんな意味で)ことだし、物凄く価値のあることだと私は思うんだ。だって芝居ってどうしても難しいことや感動させることをやりたくなっちゃうことが多いもの。
で、観てる方も、その凄さとか影の努力とかなんてちーっとも考えないで単純に笑える。それってなんて素晴らしい!このうえなく理想的な舞台ではありませんか!

そんな訳で『白河荘の人びと』は、間違いなく名作だと思っております。

そして私は、次回9月末のカメリアホールの白河荘もそれはそれは楽しみにしてるのです。

あ、そういえば今回はホントは2〜3回観に行く予定(←)だったのですが、諸般の事情により叶わず。
本物のアイドルユニット・シャンプーのゲスト出演回も観られず。けっこう心残りではあります。