8割世界「ウエディング、ラン!」

8割世界の「ウエディング、ラン!」、元気良くて面白かったです。初見の劇団さんだったのに観終わった頃にはなんだかまるでずーっと知ってる役者さん劇団さんの芝居を観たような気分になってました。
それくらい登場人物およびそれを演じた役者に好感をもって観られたということなんだと思います。
あと、前説を演出家さんがやったのですが、この方も声がやたら大きくて好感度の高い居方と喋りで気持ち良かったです。

脚本がきちんとしてる芝居ってやっぱり面白いなあ。娯楽性が高いながらもあくまで日常の一コマのお話で、登場人物にしても殊更深いシリアスな部分なんて描いてる訳じゃないのにちゃんと人間が見えてくるのは、やっぱり脚本が上手だということと、役者さんの基本の芝居(演技)が真っ直ぐだからなんだろうなと思いました。
芝居の終わりの頃に何故かふと三谷幸喜さんのことを思い出したのですが、後になって作・演出の鈴木さんのプロフィールを見てみると、三谷さんが好きらしいです。やっぱり好きだと多少影響受けるものなのでしょうか。
野田秀樹さんが好きな人の芝居が野田さんぽかったりするもんなあ。
漫画家さんでもそういうのあるし。

しかし、当然ながら真似ようと思っても真似られるものでは無いし、ただの真似ではそこまで面白いものができる訳でもないので、この鈴木さんという人はやっぱりとってもセンスが良くて頭が良い人なんだろうなあと思います。
三谷さんっぽい=すごく良くできたコメディっていうことなんだろうな。

以下、ウエディング、ラン!の好きなとこ箇条書き。

・主役の女の子のキャラクターが、めちゃめちゃで元気で可愛かった。この子がずーっと主導権握ってきたのに途中でちょっと投げ出したくなっちゃうの。それでも勝手だなあと思わせないのは、徹底してすごくカラッとしたキャラクターだったからかな。演じてる女優さんも可愛かった。声も大きいし(っていうかみんな大きいんだけど)芝居が客席に開いてて(っていうかみんな開いてるんだけど。いい劇団だなあ)好き。
「そんなにブスじゃないよ」と言われれば言われるほど可愛く見えてくるの。素晴らしい。
そしてそりゃ確かに美人を売りにしてるようなタイプじゃないんだけど、間違いなく可愛かったなあ。恋されてたり慕われてたりするのが納得いく感じ。

・その女の子を見守る男友達がステキ。もう、親の愛みたいな。いい奴だ!

・高宮さんステキ。かっこいい。面白い。エネルギーが特に強かった。出てくると嬉しい気分になる。

・登場人物が入れ替わり立ち代わりで常に舞台上には数名しかいない構成なんだけど、全然せわしなくないの。いやあ、ホント上手い。

・クライマックスで泣いた!!!もう、創り手の思うツボ!!!たぶん話にのめり込んでなかったら全然泣けなかったと思うんだけど、これでもかってくらいのめり込んでたのでめちゃ泣いた。そしてたぶん創り手側に確信的にのめり込まされてた気がする。

・主人公が手紙を読む場面で、それを聞いてるお姉さんの芝居がシンプルでちっとも過剰なことをせず、なんならあっさりしてんなってくらいで、とっても良かった。ただそこに居て、それを聞いている姉。観る側の想像力と感受性がくすぐられる。それでまた泣いた。

・終わり方が猛烈に好き。まったく無駄なやり取りで笑った(←ほめ言葉)。

・劇団ふりぃすたいるの斎藤くんを観に行ったのだけど、すごい上手い使い方をしてもらってた。美味しいというか、彼に似合うというか。

・作・演出の鈴木さんの、脚本への情熱と登場人物(および役者)への愛を感じた。しっかしホント頭良さそうだなあ。

こりゃ出演者も気持ち良いくらいへとへとになりそうだなって感じの舞台でした。
あ、あとマグロの解体ショーを観たくなりました。このネタ好き。こういうとこで主人公への好感度が更に増した感がある。

観に行って良かった!