まつりの後〜いろいろ順繰りに振り返る-登場人物編-

最後に登場人物を振り返ります。
今回は準備期間が短かったので、登場人物1人1人への思い入れが、私の中で若干くすぶっています。
なので禁断の、「作・演出が登場人物を語る」をやっちゃいます。超絶自己満足。これぞ自分語り。


【阿久津】/中村和正
「私の太陽」というべき存在。スティービー・ワンダーの「You Are the Sunshine of My Life」を流そうかとマジで考えたが恥ずかしいのでやめた。
名前の由来は「暑苦しい」より。パンフレットに使った写真は本当に阿久津そのものという感じの笑顔だったなあ。

【寒川】/杉浦直
職業・工員。通称サム。寒くてずっと凍えてた寒川が、阿久津という太陽を手に入れて・・・とか言葉にすると恥ずかしい。なんにもない男。苦しみと幸せを手に入れた男。
名前は「氷室」にしようかとも思ったけど、やめといてよかった。

【愛ちゃん】/日高ゆりあ
ビール大好き愛ちゃん。博愛主義の愛ちゃん。恋を知らない愛ちゃん。いろんなエピソード、いろんなバックボーンがあったのに、あまりに宇宙的思考なキャラクターであったためショートショートでは伝えづらく、泣く泣くほとんどカットした。一本物の作品でじっくり描きたい役。実は「愛川」さんで、愛ちゃん。実はマイク●ソフト社のアメリカ本社でSEをやってる。本編には欠片も出てこないけど。

【マスター】/上杉英司
バー「しのぶ」のマスター。焼酎でもバーボンでも有無を言わさずストレートで飲ませてくれる人。ボケあり、つっこみあり、振り回され役あり、恋あり、男の友情あり。この人のネタなら多分あと10本は書ける、ってくらい動かしやすいキャラクターだった。
本名は増田。下の名前は「ひろし」だか「ひさし」だかだった気がする。
腕っぷしが強い設定。昔はワルで、族のヘッドをやっていた(死語)せいか、影山とかトオルのようなはみ出しものを放っておけずに拾ってやるのであった。

【スグル】/柳繁之
千の仮面を持つホスト。メインキャラクターは王子様系【翔】、オラオラ系【聖也】、おとうと系【翼】。“聖也”より“誠也”の方がキャラに合ってる気もする。
あれは12月も半ば過ぎた頃・・・。1ページも台本がもらえない状態、もちろん演じる役も決まっていない状態で柳繁之が突然ネタ出しと称して憑かれたようにホストを演じはじめた。執事カフェの執事とかも。とにかく休憩中の稽古場で、私しか見ていないそのひと時に、いろいろやってくれて。
で、それを元に私が好き放題書いたネタを渡したら、更に彼がいろいろ付け足してくれて、それを観て更に私が無茶振りして・・・という、共同制作で生まれ育ったキャラクター。
お客様のアンケートの結果を見る限りでは気に入ってくださった方が多かったよう。私もお気に入り。
スグルの名前は「優れている」の意より命名。心労が多くて「常に顔色がすぐれないスグル」というネタもあった。

【鷺ノ宮】/宮本雅行
天才サギ師。宮本雅行があまりに腹黒そうな顔で微笑むのを見て思いついたキャラクター。スグル同様、12月半ば過ぎにようやく生まれた。
ホントはもっとスグルと対決したかったが、時間的都合により一勝負のみだったのが悔やまれる。ずっとジャージ姿だった鷺ノ宮が、最後のバー・しのぶ5周年パーティーの時にスグルと同じ黒スーツを着ている、というのはわかる人にだけわかるお楽しみポイント。スグルの店で働いてるのか、あるいは乗っ取ったのか、共同経営してるのか・・・という。いずれにせよ法に触れるスレスレの営業をしてそう。
フルネームは鷺ノ宮匠(たくみ)。

【只野】/前田ゼン
サラリーマン。元々は、人の顔を見ただけでその人の心に隠された真実がわかる男、という設定だった。人の世話を焼いてるうちに妻の心が離れてしまうというシリアスで切ない人物が元ネタだったけれど、紆余曲折の末にアホな役に落ちつき、更にはそのメインネタがカットされるという憂き目に遭い、本当にただのサラリーマンになってしまった。ちなみに人の世話を焼く性格は阿久津に、妻の心が〜という設定はマスターに引き継がれた。

【しのぶ】/遠矢ひこの
ファーストフード店やレンタルビデオショップで滅茶苦茶な接客をする店員さん。実はマスターの元・妻(離婚届はまだ出してないらしい)で、そうとは知らずにマスターの店のバイト募集に応募したり、マスターの部屋にデリヘル嬢として訪問してきたりする、天性のうっかりさん。
カフェっぽい制服やらバーの制服やらナース服やらを着てくれて、愛ちゃんとは違う方向のコスプレ担当。
杉並区のマスコットキャラクター「なみすけ」のエコバッグを愛用。実家は北海道。初期設定では北海道の室蘭東高校卒業だったが、最終的には北見工業高校(だっけかな)の出身になっていた。この上なくどうでもいい裏設定だな。
旧姓・佐藤。この人の名前はキャラクターをあらわすものではなくて語感で決めた。

トオル】/鶴本裕也
バー・しのぶの従業員。よく喋る、というキャラ設定だったのに、時間の都合上ネタをカットするにつれ、むしろ黙りこくる深刻な場面の方が多くなってしまった。
少ない出番ながらバーには欠かせない存在としてちょこちょこ出てきており、また、愛ちゃんのことを心から愛する懐の広さを見せたりで、「登場人物の中で一番いい人」とアンケートに書いてくださったお客様もいらしたのだ!!
名前は、「1980年代のちょっと軟派なバーテンぽいイメージ」でなんとなく。
今気づいたけど、マスターの名前がひろしだったら、トオルとヒロシで「ビー・バップ・ハイスクール」だわ・・・。

【和也&達也】/掛札高志
双子の上継(うえつぎ)兄弟。弟の和也は医師、達也はフリーター、和也が仕事をサボりたい時には達也に金を渡して影武者を頼むという、ろくでもない双子。
言うまでもなく「タッチ」からの命名だけど、タッチネタは皆無。掛札高志本人がメガネっ子なので宗兄弟からいただこうかとも思ったが。
そういえば最初期の名前は「ブロッケン」君だったなあ。いつも女の子に振られてばっかりのブロークンハートのブロッケンくん。初期設定ではそのブロッケンくんが初めての彼女・愛ちゃんを振る、という話がメインネタだったけれど、これまたいろいろカットするうちに当初の予定とは全然異なり和也が真面目なことを喋り捲るという展開に終始した。
やってみなきゃわからないことの連続だったな、今回は。

【影山和美】/加納和也
本名が和也で役名が和美。それとは別に先述の和也という役もいるわでややこしい。
マスターの奥さんが嫉妬した「和美さん」は元は普通の女性だったのが、途中で影山とドッキングした。
ボクサーがツッコミをする、というネタは公演をやろうと思い立った時に最初に思いついたネタだったので、影山が最初に生まれたキャラクターということに。最初から加納和也を想定。
「no title」は、タイトルを獲ったことの無い影山というボクサーを示す言葉でもあり、何だか裏主人公という様相だった。プロローグでも寒川の登場前に影山を出そうかと思っていたけど、本当に主人公になってしまいそうだったので変更した。ちなみにパンフレットの写真のコンセプトは「飢えた狼のような目」。減量中の顔ってことだな。
家庭が複雑で母親の愛に飢えていて、グレて高校を中退して道をほっつき歩いてるところをマスターとケンカになるも負けてしまい、マスターに「うちに来い」と無理やり連れて行かれ、マスターの部屋に住まわせてもらいながらバーで働いていたとかなんとか、どこかで聞いたような裏設定がものすごく充実している。
影山の名前は、影がある男だから。あと、シャドーボクシングから。

【袋小路】/花見卓哉
フルネームは袋小路翔(ホストと被ってるわ)。ピン芸人。ふらりと入ったバーをネタの稽古場に使い、いつしか運命の相手・影山と出会い、コンビを組む。が、一度きりのライブに出ただけでまたそれぞれの道に戻って行く・・・という何やらカッコイイ役。酒は何でも嗜むが、バー・しのぶではバーボンをロックで飲むのがお気に入り。
作中のピンネタやちょっとした小噺は全て花見卓哉作。
「袋小路」は、いつか使いたくてとっといた名前。今回の花見卓哉の役に素晴らしくマッチングした!

【吉野幹久】/福丸伯爵
元・世界王者にして、現在は影山のトレーナー。通称・ミッキー(「ロッキー」のトレーナーがミッキーなので)。ミッキーといえばミッキー吉野ゴダイゴ)。で、何となく幹久にしたというのが命名の経緯。どうっでもいいわ。
ちなみにゴダイゴというバンド名はリーダーのミッキー吉野後醍醐天皇を好きでそこからつけたらしいが、英語表記が「GODAIGO」ではなく「GODIEGO」なんだそうな。これは「GO DIE GO」ということで、果ててもまた生き返るとか復活とか不死鳥とかいう意味付けがあるそうな。

【会長】/則末チエ
亡き夫の後を継ぎ、影山と吉野の所属するボクシングジムの会長になった。らしい。ホストクラブ「ロイヤル」の常連。
ちなみに名前は成金豊子(なりがねとよこ)。「成金ボクシングジム」なのかな。嫌な名前だ。


最後に公演全体の反省をひとつ。
・・・タイトルは検索しやすいものにするべきだった。
「no title」にしろ「ノータイトル」にしろ、別件が2万件くらい出てくるのです。

という訳で振り返りおしまい。

4月公演にレッツゴーだい!