「オーガッタジャ!」

ご来場くださった皆様、関係者さま、スタッフさん、お手伝いさん、出演者の面々、今公演を気にかけてくださった方々、そして劇場・タイニイアリスの皆様、ありがとうございました。

公演2日目に地震が起きました。
今まで経験したことの無いような揺れに、生まれて初めての恐怖を感じました。

その夜の公演は8名のお客様がご来場くださいました。
職場から徒歩で来てくれた方、近くにお住まいの方、中には実家の家族と連絡が取れ、一安心して足を向けてくださった方もいました。

終演後、新宿の町を歩く人々の姿と巨大スクリーンに映しだされるニュースを観て、改めて震災の規模を知りました。

翌日は節電について、お客様の安全について、メールや電話で外部の方から進言をいただく中、昼と夜の公演を行いました。
その翌日も予定どおりに行いました。

生きていることを実感した時、当然のように芝居をやりたいという気持ちが沸き起こりました。

我々は劇場を閉められることも無く、停電にみまわれることも無く、芝居をやる環境と、自分達で上演を決める自由をいただきました。

私と主宰の中には公演を中止するという選択肢はありませんでした。
余震がきたら、停電が起きたらどうするかということを考えつつも、迷うことなく公演を行いました。

大事な資源を使い、セットを作りチラシを作り電気を使い、経済活動に貢献するでも無くただ消費の限りを尽くし、それで上演するものといえば芸術でも無い、エンターテイメントでも無い。いったいなんなんだ、何のために存在しているんだ、と。

その、何のために存在しているのかという事こそが発条ロールシアターの芝居にいつも流れているものなんだと思います。

美談でも根性論でも無く、
「愚の骨頂だ」
という話です。
今までも、今現在も、これからも、愚行を続けて行くでしょう。

出演者・スタッフそれぞれが、不安や痛みや悲しみを持っていました。
ご来場くださったお客様、こんな状況であるにも関わらず「行けなくてごめんなさい」とご連絡くださった方々、気にかけてくださった方々も同様だったことでしょう。
家族や友人が被災地にいる、というメンバーやお客様もいます。

被災された方、行方不明の方、そしてこの事態からの復旧に向け尽力してくださっている方のご無事を祈ると共に、亡くなられた方達のご冥福をお祈りいたします。

そして、最後まで公演を行う事のできた事実に、ただ感謝したいです。