それの話

それは、もう捨てられないものなんだ。私が一生を共にするものなんだ。

ものすごく大事な人。天秤にかけられないくらい大事な人。
そういう人の為にできるだけのことをしたいと思う。
情けは人の為ならず。自分が後悔をしないためにも、大事に大事にしたい人たち。

自分の大事な人にとっての大事な人。自分の大事な人にとっての大事な事。
それをないがしろにはしたくないと思う。
自分に置き換えてみなくてもわかる。大事にするといいよ、と心から思う。何でもできる限りの事をして助けになりたい、と思う。

けど、それとは別に、とてもとてもとても大事で絶対的に手放せないものが今の私にはある。
その為に生きているということにずっと前から気付いていた。
何もかもがそこにつながっている。
私に歯止めをかけるのも、私の心を突き動かすのも、自在なんだそいつは。

というか、それしかできないんだ私は。

自分にとっての大事な人や事柄、自分にとっての大事な人にとっての大事な人や事柄。私の個人的な感情でどうこう言えるようなものではない。

それでも、私は双方で後悔を生まない為にも、本気で生きて本気で選んでいかないとならない。

大事な人を泣かせて、結果的に自分も泣いて、そんな鬼の所業をためらわずに行えるくらい、本気でやり遂げないとならないことがある。
明日には消えてしまうものかもしれないけれど、いつまでも手放せずにいられると信じて、私はパソコンに向かい、そして稽古場に向かうのだ。

子供の頃に漠然と感じていた「うんと未来にやってくるであろう怖いこと」が、今では「もしかしたら近い未来には訪れてしまうかもしれない怖いこと」となっている。

怖い。悲しい。辛い。考えたくない。永遠に訪れて欲しくない、そんなこと。

今はまだ、「あなたが決めたようにしてください」としか言えないけれど、力ずくでも引きずり込めるような、そんな力をつけなければならない。
私が成長を止めることは、私の大切なそれを手放してしまうことと等しい。

頑張りますよ。あなたも頑張って下さい。そして、一緒に頑張りませんか?

そう言える様に、自分を信じたい。