ツアー

昨日は出演者全員で都内各所のお墓・史跡参りに行ってきました。
いつもどおり皆のほほーんとした感じで喋くりながら歩いていたのですが、目的地に着き石碑の前に進むと、自然に古の人たちを思い厳粛な気分になって手を合わせていました。

かつていたのに、今はいない人々。
たくさんの魂。

お線香の煙すら届かないんじゃないだろうかと思うほどの昔、それぞれの無念や苦しみ、あるいはようやく辿り着いた安らぎの中亡くなった人たちにご挨拶。
精一杯タマシイ込めて創りますので、安らかに眠ってくださいね、と。
私は特に物語全体を書き演出しているということもあり、言い訳というか説明というか、長々長々語りかけてしまいます。ホントは、対生きている人間同士の対話と違って、こちらの思ってることって一瞬で伝わってるような気もするのですが、そこはまあ言葉を操るものとしてついつい言葉で表現したくなるという。

怖いのが苦手なメンバーもおりますが、いざ現場に行くと、怖いっていうか歴史の重みに「ほほおー」となる方が先に立つようで、割と穏やかな気持ちでお参りできたようです。
かくいう私も猛烈な怖がりなんですが、お墓を怖いと思ったことは今までないんですよね。むしろ落ち着く。そもそも線香の香りが好きなもので。

ちなみに、実在の人々をモチーフにしているのでご挨拶をしに行きましょうというのが目的だった今回のツアーですが、それ以外にも収穫がありまして。
登場人物のセリフが前より腑に落ちたり、別の角度から見られるようになったり。
演出する上での作品全体に対する方針もなんとなく決まったような気がします(今さらかよ)。

寂しい。でも、安らかでもある。
それは決して悪くない状況ではあるけれど、既に眠っている者とこれからも生き続ける者とではその状況の持つ意味は違ってくるだろうなあという、そういう気持ちを今回の芝居には込めたいと思います。

まあ、メインテーマはまた別にあるんですが。