先日の日記で告知いたしました、前田明範出演の「オサエロ」、昨日・一昨日と2回観に行ってきました。
過去に発条ロールに出演してくれた役者さん達も足を運んでくれていて、観劇後は例によって一緒に観に行った皆で飲んだくれつつ芝居の感想で盛り上がりました。
ところで。
自分のとこの劇団員が褒められると、つい
「まあ、彼にしては良かったよね」とか憎たらしい事を言ってしまいます。
心の中ではたぶん誰よりも褒めてるんですが、どうも照れくさいというか、「良くはなったけど、更なる高みを目指して欲しい」みたいな。
そんな訳でなかなか褒めはしませんが、できるだけ「良かった」は伝えるようにしています。
「あそこをああしたことによってこれが伝わるようになったから良かった」とか具体的に。ビデオカメラ代わりに客観的に観たことを伝えているという感じですね。
さて、なかなか「オサエロ」の感想が書けません。
たぶん日記には書かないで終わるような気がします。
いろいろな形があります。いろいろな思惑があります。志があります。
自分は、稽古はしっかりやりたいです。
稽古期間が長ければ良いというものではありません。
長さというよりも密度が大事なんだと思います。良い役者は、ずがんと集中して、効果的に稽古時間を使えます。
プロの世界では限られた時間の中でベストを尽くすのが当たり前で、たいていの役者はそのつもりで芝居に対して誠意を持って取り組んでると信じています。
それでもやはり役に向き合って命を与えて客席に心を伝えるにはそれなりの時間が必要だと思っています。
若い役者が何とかセリフを覚えて体裁を整えましたという舞台は、やはり観ていて虚しくなります。頑張ってるのがわかると尚のこと。
そして何より、演出家が演技指導をするだけで精一杯で、演出ができなかったような舞台を観るのが私には辛いです。
ある程度の時間は、やはり絶対的に必要なんです。
前田くんは、彼にしては良かったです。
魂が伝わってきたのが良かったです。
登場人物の熱と前田明範の熱が渾然一体となっており、私がこの芝居を書いた脚本家なら、この彼の芝居を観てとても嬉しく思うでしょう。そんな演技を見せてくれたのが、良かったです。
今回前田くんがこのお芝居に出させてもらえたことを本当に嬉しく思っています。
残り4ステージ、柴田上飛曹は最後まで力強く生き抜いてくれるでしょう。
お母さんだけは、褒めてくれますよ。