たっ、たまごっ

ラーメンに、生卵を割り入れます。
かきまぜません。

麺をすすり、汁をすすり、時折こらえきれずに白身をすすります。

黄身は崩しません。出来得る限り白身も残しておきます。あくまでストイックに。

最後の最後まで我慢して、全ての麺と具材を喰い尽くしてから、箸で卵をすくいます。

どう頑張ってもかなりの確率で箸と箸の隙間、あるいは箸の端からこぼれ落ちそうになる卵に口を近付けて、もう辛抱たまらんとばかりに、ずるりと吸い込みます。

ラーメンの、多様な調味料で濃厚に味付けられた汁を絡みつかせながらも、口の中で初めてその身を崩した黄身は、何物にも侵されない、毅然とした態度で卵の味を誇示します。熱い汁の中で泳ぎほてりきったその体は、けれども純然たる生卵としての己を保っています。

ああ、たまらん。

蕎麦やうどんも同様に。しかし、ラーメンとはまた違った味わいがあるのですよ。

我が愛しの卵。