少女マンガ話

『キラキラ100％』（集英社りぼんマスコットコミックス刊）は、30代以上の読者を対象にした少女マンガかもしれない。

自分に自信の無い地味系女子高生「みく」が、クラスの人気者の男の子に片思いをして…という、書いてるだけで恥ずかしくなるような「THE少女マンガ」。
恋は第１話で早くも実るんだけど、モテない女の子ゆえの悩みや失敗が次から次へと巻き起こる。
オシャレに目覚めてモテない女子のカテゴリから脱却しつつある主人公だが、それでも染み付いた劣等感からはなかなか逃れられないという。

読んでるうちに自分の中学、高校の頃の片思いの記憶とか体育の悪夢（主人公同様、体育大嫌いだった）とか、忘れていた恥ずかしい失敗エピソードなんかを思い出して、今さら自己嫌悪に陥ったり、と。

お相手の渋谷くんは非常にかわいらしい男の子。現代の高校生でこんな奴いるのかね、と思うくらい擦れてなくて優しくて、しかも運動神経抜群で顔もカッコイイ、お調子者の人気者。
フォローの意味もあるのか作中で、
「こんな俺、他の連中に言わせれば『男じゃない』のかもしれないけど、世の中の男がみんな同じって訳じゃないし」
と自らを語っている。

でもそういえば過去にこういう男の子がいたなあ、と思い出す。お調子者でかわいくてモテるけど、純朴で優しくて相手のためなら性欲の波も押しとどめるような。
30過ぎた今はひねこびたオッサンになってしまったけど。

少女マンガの理想の男子も青年マンガの理想の女性も、「いねえよ、こんな奴！」と言われてはいるが、この世のどこかにはいるだろう。かなり一般的でないにしても。いろんな人がいるからね。

さてこのマンガ、掲載誌はクッキー。一緒に載ってるのは矢沢あいの『NANA』とか。貞操観念を持ち合わせていないような登場人物がクッキー誌上にはゴロゴロしている。
そんな中、作者の水沢めぐみが20年以上前とほとんど変わらない絵柄で、これまた20年以上前のりぼんテイストで恋物語を描いてるんだから凄い。初めは誰が読むんだろうと思っていたんだが、ターゲットは多分我々だな。若い親や大人になり損ねた昔少女達が読んで胸キュンするのだ。

『キラキラ100％』現在６刊まで発売中。以下、続刊。

水沢先生、少女向けファッション誌を購読してるというだけあって、作中の女の子達の着てるお洋服がとても可愛らしい。