私は終わらぬ。私の魂は決して死なん。

パソドブレ」終演いたしました。
いつもは公演が終わったらしばらく燃え尽きてへたっているのですが、今回はもう次に向けて出発しています。
牛歩ですがね。

次のお話を書き始めました。お世話になってる劇団さんとこに演出助手としてまたまたお世話になることになりました。音楽をたくさん聴き始めました。それから、コネを作らんと、お勉強させてもらおうと、いろいろ画策しております。

そんな中ふっと「パソドブレ」という物語を思い出しました。まだ終わって一週間も経たないのに、何か急に遠い過去の事のような気がして、不覚にも涙腺が緩んでしまいました。

もう二度とあの芝居には会えないんだ、と。

主役を演じた男の子が自分の日記に書いていたのをこっそり読みました。
「もう二度とこの役を演じる事はないんだ」
まったくもってその通りです。
例え再演する日が来ても、同じ配役でも、演出も役者も今とは違っているのです。だから同じ芝居になる事はないのです。

私の書いた登場人物に役者達が命を与えてくれて、私の創造力を遥かに上回る素敵な人々をつくりだしてくれました。
田中、江古田さん、純子、九谷先輩、いまりちゃん、織部中尉、志野さん、益子巡査。
そして大家さん。

また会えたらいいね。

ともうひとつ、どうしても書いておきたい事が。
今回登場した織部中尉は226事件の将校さん達がモデルです。226の事はほとんど知らなかったのですが、資料を読みあさっているうちに不思議なくらいのめり込み、知れば知るほど胸をかきむしられるような思いにかられました。
そして事件を知っていく中で、私の心からどうしても拭い去れなかったもうひとりの人物が、益子巡査のモデルです。そのものズバリ、警備に当たっていたお巡りさん達です。

私が書いたものは綺麗事かもしれません。当人達にとっては迷惑かもしれないし、もしかしたら憤慨されるかもしれません。
それでもこういったカタチで書かずにはおれませんでした。
いまりちゃんの想いはそのまま、私から、将校さん達とお巡りさん達への想いです。

夢じゃない、確かに存在していた人への熱い想い。

勝手にお力をお借りしてごめんなさい。あなた達は静かに眠ってらしたのに。
でも、あなた達の魂は決して死んではいないのだと、やはり私は思いたいのです。