アムール虎

どこだかの動物園で虎が檻から逃げ出して、来園客3名が死傷。虎は駆け付けた警察により射殺。
射殺するしかない恐ろしい状況だったのだろう。飾り立てられた動物愛護の言葉を叫ぶ暇なんてないような。
だって、例え山野を離れて久しくとも、巨大な牙に鋭い爪、そして全身の強い筋肉。地上最大最強の動物のうちのひとつだもの。
予想もしなかった事態。亡くなった方は可哀相だし、怪我を負った方や現場に居合わせた方の恐怖たるや、いかなるものだったろうか。

でも、虎は好き好んで動物園にやって来た訳じゃない。
動物園の動物、ペット、家畜、そういったものの存在を考えた時、いつでも激しい葛藤に悩まされる。そして答は出ないのだ。

虎は悪くない。人里に降りてきた熊も、人間の手を噛んだ犬も、疫病にかかった鳥や鯉も、みんな悪くない。
ノアの箱舟に乗ったのは何の為だってんだ、いったい。