新潮文庫の扱い

私は神経質である。雑誌や書籍を買う時に、少しでも折り目や爪痕があると購入意欲が萎えてしまう。ひどい時は文庫本の帯のねじれすら気になる。
購入後も、うっかり鞄の中でページの端を折っちゃったりすると、陰鬱な気分になる。

そんな私が新潮文庫に関してだけは、どんなにめためたになっても心変わらず、むしろ汚れるほど愛が深くなる。
丸めてポッケに入れて持ち運ぶのも平気。コーヒーの染みがつこうと、ざっくり表紙が折れようと、雨に濡れて倍に膨れようと、味わい深いなあと思いこそすれ、眉をしかめる事なんて有り得ない。
手ぶらの日も雨の日も食事中も、いつも一緒にいたい相手なのよ。

いや、決して軽んじてる訳では。
そう、愛ゆえ。