『誰も知らない』

是枝裕和監督作品。ずっと観たかったのだが、先日ようやく観た。目当てはもちろん(?)柳楽優弥君。
が、お目当てがどうのとかなんて吹っ飛んでしまうくらいに良かった!
どうやら子供達は台本を読むことなく、その場で言われた事を台詞にしてたらしいのだが、非常に生っぽい。あまりに生っぽすぎて、特にお兄ちゃんは素の照れ笑いなのかな?と思うような笑い方をしている個所もいくつか。特に最初のほう。
でも、そのためにまるでドキュメンタリーを観ているかのような気分になり、後半になるにつれ切なさが胸に溢れた。

一番悲痛に感じたのは、あんなに優しくてしっかりしていた真面目なお兄ちゃんが粗暴になっていったところ。境遇は人の心も変えてしまうという事に、この子達は悪く無いのに…と悲しくてたまらなかった。
子供達みんなとても可愛くて、特に末娘は反則技級。
母親役ももの凄いベストキャスティングだと思った。YOUさんだからこそ「ウソくさーい」とはならなかったんじゃないだろうか。あり得ない母親がとてもリアルにそこに存在していたように私は思う。

この作品は、ひどい話だ…という内容なのだが、見終わった時に私の中にあったのは、憤りではなく虚脱感だった。すごくやるせない気分になった。

昔は邦画って全く観なかったんだけど、面白い作品はたくさんあるのだな。ジュリーが主役の『太陽を盗んだ男』も、人に借りて観たのだが猛烈に面白かった。
新作だと京極夏彦の『姑獲鳥の夏』が観たいなあ。これはキャスティングにひかれたんだけど。京極夏彦って実は読んだ事無いんだよな。どれもこれもぶ厚くて、勇気が出ない。
オペレッタ狸御殿』が密かに気になっていたので見逃したのが悔やまれる。