子供の頃、トイレに行くのが怖かった。昼間だろうとすぐ隣の部屋に人がいようと怖かった。背後が怖かった。特に水を流す時の音が怖かった。背中から全身を轟音に包まれるような感覚が怖かった。
庭でおしっこして怒られたりしたけど、怖い思いしてトイレに行くより怒られる方がマシだと思ってた。
よって、トイレを我慢しがちだった。
おねしょもよくしてたし、お漏らしも、幼児どころか結構大きくなってからしちゃった記憶もある。
前世で何か̪シモに関わる罪を犯したのかもしれない。そういえば昔は目が弱くてしょっちゅう目が開かなくなるくらいのトラブルに見舞われていたけれど、その時は前世で覗きの罪を…と思っていた。最近めっきり目のトラブルとご無沙汰なのは、罪を償いきれたんだろうか。とか言ってぶり返したら嫌だから調子に乗るのやめとこう。
まあ、前世とか微塵も信じてないんだけど。
大人になってからもトイレは怖いっちゃ怖い。音も怖いし怪談的ないろいろを思い出して怖くなったりもする。稽古場でトイレに行く時、できれば誰かついてきてくれないかなあと思うくらい怖い。自宅のトイレですら夜中だと水を流す時に若干怖い。
そしてそれ以上にめんどくさい。
めんどくさくてトイレを我慢しがちである。
だもんだから、20代の頃は軽い膀胱炎のようなものによくなっていた。痛みは無いのだけど、してもしてもしきれないような、水分が出きらないような感じで不快感が残る。
が、それはすぐに克服した。ちょっと症状が出てきたなと思ったら排泄時にひと工夫するのだ。最後まで普通に排尿するのではなく、そろそろ終わるかなというところで一回止める。で、力を込めて勢いつけて最後にジャッと出すのだ。
そうすると膀胱内の水分が一滴残らず排出できる。ような気がする。微妙に湿った雑巾をそのまま絞るよりも、思い切り水に濡らしてから絞る方がより水分を絞り出せるようなイメージだ。
ひどい例えだしあんまり例えになってないし。でもそんな感じ。
とは言っても何年もの間、その症状は出ていなかった。そもそもトイレを我慢することが減ったからだろう。
それが、去年くらいから何となくいつも常に尿意を感じるようになってきた。トイレに行っても行ってもスッキリしない。これはもしや若い頃のとは違う、本格的な膀胱炎じゃなかろうか。そう思いつつ、歯医者と耳のお医者に通う日々にうんざりしていた私は病院に行かなかった。
ある日、トイレで排尿したあと、そのまま1分ほど待って力を込めた事がある。すると、出るではないか。さっき全部出し切ったと思ったのに、尿が!
それ以来、トイレに行くたびに同じ現象がおこった。
これはもしや加齢により筋肉が衰えて排尿が困難になっているとかいうそういうアレだろうかと思うと怖かった。
とにかくいつまでもスッキリしないのだ。一度出し切って、ちょっと待って再び力入れてもう一回出し切って、もうちょっと待って三たび力入れて…いつまでも出るのだ。そして、もう出ないなってとこまで粘っても、どうもスッキリしないのだ。
トイレにかける時間が格段に増えた。年をとるとトイレが長くなると言うのはどういう原理なのかと思っていたがこういうことか、と腑に落ちた。落ちたくなかった。
トイレに行って出し切った瞬間すらスッキリとした解放感に包まれることが少なくなった。いつも常におしっこのことを考えるようになった。丁度その頃生活環境が変わったこともあり、ストレスもちょっと影響していたのかもしれない。頻繁にトイレに立ったけれど、出るのはほんの少し。少し出してまたすぐトイレに行ってまた少し出すことの繰り返し。
(ちなみに耳の不調もこの頃で、服薬で症状は和らいだものの原因は不明のまま通院終了となった。こちらもストレスのせいだったのかなあと思っている。全くひどい目に遭った。)
あまりにも不快感が続くので我慢ならず薬局へ行った。何か私の症状に効くものはないだろうか?頻尿、残尿感、痛みはまったく無い…。
で、見つけたのがユリナールという薬だった。私の症状にピッタリ、と言いたいところだけどどっちかというと消去法で決めた。ユリナールは夜間頻尿の解消と大きくうたわれているけれど、私の場合は夜間に尿意を感じて目が覚めることは無い。でも他のものは排尿時の痛み、というのが書かれていて、痛みはまるで無かったのでユリナールにしたのだ。
結論から言うとこれは効いた。不快感が、飲み始めてあっという間に解消された。スッキリすることのなんて幸せなことか!
おかげでインターハイの長丁場の観戦も乗り切ることができたのだ。
さて、時は過ぎ秋頃だろうか。再びそこはかとない残尿感を感じ始めた。頻尿気味にもなってきた。気のせいだよね?ね?と自分を励まし、実際やっぱ気のせいかーとなることもあったけれど、24時間中16時間くらいはおしっこのことを考えてるような生活になってしまった。
そして次第に、本当に再びあの症状がぶり返してしまったのだ。
それでも二か月くらいは自分を欺き、これは一時的な症状ですぐ治る、と言い聞かせていたのだけど、年末年始くらいにはもう誤魔化せないくらいの頻尿と残尿感に悩まされていた。
自分で書いてて、なんで手を打たないのだろうかと突っ込んでしまった。
それ以前に、いいから早く病院に行けよ!と。
しかし病院に行かず私はまたしても薬局に行ったのだ。これが昨日の話。
今回購入したのは、じゃーん。
八味地黄丸
前に漢方博士の友人におススメされたのもこれだった気がする(別にドクターではありません。でも漢方のお仕事してて全て頭に入ってるので博士と言っても過言ではない)。おススメされた後は症状がそんなでもなかったので買ってなかったけど、今回これを飲んでみたらば、
すっごい効いた!
夜飲んで翌朝もう効果を実感したくらい効いた。気のせいかな。プラシーボ?
効能見たら症状もドンピシャだった。どうして前回はこれを選ばなかったのだろうか。たまたまその店に置いてなかったのかな。まあユリナール効いたから良かったんだけど。
ちなみにユリナール購入の決め手になったのは、「膀胱の容量を大きくする」でした。さっき調べたら炎症をおさえるとかも書いてあった気がする。
ともあれ今回は八味地黄丸。
二日酔いで苦しんでる時に漢方飲んで全然効かなかった記憶があるので漢方って私にはどうなのかなーと思ったのだけど、やっぱ効くものもあれば効かないものもあるってことなのか。
しかしながらこれ、15日分ということなんだけど飲み続けないとまた症状ぶり返すんだろうか。風邪とか胃痛とかと違って、排尿機能の衰えって治ると思えないのだけど。
ということは私は残りの人生ずっとこの子を飲み続けるか、あるいは膀胱の違和感・不快感と共に生きるかの選択を迫られるのだろうか。
そんなの、飲み続けるほう選ぶに決まってる。
膀胱炎に関しては頑なに病院に行かなかったけれど、本来私は病院に行くのは嫌いじゃない。だって、違和感とか不快感とか痛いとか苦しいのを治してくれるんだよ?凄くない?ビバ・病院!
しかし、東洋医学もいいもんだねーと初めて思ったのだった。私を救ってくれるものはみな素晴らしい。
ということで八味地黄丸のおかげで今日はすっきり快適に過ごせたのだった。
ありがとう八味地黄丸。